中国唐代初期小説の研究-その小説史的位置の見直しとそれにもとづく作品論の試み-
Project/Area Number |
12710243
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
中国語・中国文学
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小川 良恵 (溝部 良恵) 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助手 (80322064)
|
Project Period (FY) |
2000 – 2001
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
|
Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2001: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
|
Keywords | 唐代小説 / 『太平広記』 / 『広異記』 / 『紀聞』 / 「戴氏広異記序」 |
Research Abstract |
平成13年度の本研究の研究成果は大きくわけて、三つある。 (1)平成12年度に行った小南一郎氏を囲んでの研究集会「志怪と伝奇-小南一郎先生の研究をめぐって-」(於東京大学)において、発表した内容を「六朝唐代小説史研究における諸問題」(『東京大学中国語中国文学研究室紀要』第4号所収)として、文章にまとめた。その中において、従来の小説史研究において、六朝志怪から唐代伝奇への変遷が未だうまく解明されていないことを指摘するとともに、研究者としては従来省みられなかった『広異記』など唐代初期の小説に着目することの重要性を述べた。 (2)本年度はイギリス、中国、韓国において『太平広記』『広異記』を中心とする文献調査を行った。とくに韓国においては、15世紀に朝鮮王朝の学者成任によって、抄録、刊行された『太平広記詳説』を調査した。これは刊行年間から考え、中国南宋の版本を底本としている可能性が高く、現在中国に現存する中で最も基本的な版本とされる談がい本よりも百年ほど早い出版であることになる。こうした成果を「朝鮮本『太平広記詳説』について」として『東京大学中国語中国文学研究室紀要』第5号に発表予定である。また今回は初めての韓国における調査であり、『太平広記詳説』について完全な調査は行えなかった。今後引き続き調査、研究を行いたいと考えている。またイギリスにおいては、当地の研究者と交流し、欧米における文言小説の研究状況を把握することができた。 (3)二年度にまたがる本研究の過程で、六朝志怪から唐代伝奇への変遷の過程を解明する上で、個々の小説集に着目することのほかに、仏教との関係とくに六朝から唐代にかけて書かれた所謂「再生譚」の重要性が意識されてきた。本年度はその考えを「六朝隋唐における再生譚について」(於第5回六朝学術学会)と題し、発表した。この問題に関しては、本研究の成果の延長として、今後さらに研究を進展させたいと思っている。
|
Report
(2 results)
Research Products
(3 results)