近代ドイツにおける文学とメディアの関連性-J.W.ゲーテを中心に-
Project/Area Number |
12710271
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
独語・独文学
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
美留町 義雄 大東文化大学, 文学部, 講師 (40317649)
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Project Period (FY) |
2000 – 2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2001: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Keywords | ドイツ / ゲーテ / メディア論 / 書物 / 書誌学 / 近代ドイツ文学 / 口承文学 / 出版文化 / ドイツ近代文学 / メディア技術 / 印刷・出版 / 親和力 / 著作権 |
Research Abstract |
まずはじめに、印刷技術の発展と識字運動の浸透によって書物という媒体が普及し、読者という大衆が成立した近代ドイツの社会的背景を明らかにした。次に、こうしたメディア変革に伴うコミュニケーションの変容、すなわち、口承から書承、音読から黙読へ向かう伝達の問題性を、『若きウェルテルの悩み』や『親和力』をはじめとするゲーテの文学作品において分析した。この成果は、平成13年6月に催された日本ゲーテ協会のシンポジウムにおいて口頭発表された後、論文「音読から黙読へ-ゲーテ時代における書籍メディアと読書行為-」として学会誌『ドイツ文学』107号に掲載された。本研究ではさらに、こうした書籍メディアの発展を、その渦中を生きたゲーテ自身との関連において分析した。つまり、自伝『詩と真実』を主要テクストにして、(1)初期のゲーテがフランクフルトとライプツィヒという書籍文化の中心都市に生活していた点、(2)彼が、当時ドイツ語圏で蔓延していた盗版に悩まされていたこと、また、そのため彼が、まだ確立していなかった「著作権」という作者のステータスをめぐって、出版社やドイツ連邦と度重なる交渉を強いられたこと、(3)最後に、彼が書籍メディアを通じて作家的成功を収めたにもかかわらず、読者という大衆に疎外感を味わっていたこと、特に、彼が晩年において、書承のあり方を否定して口承に固執する姿勢を見せたことを論究した。この論文「ゲーテを取り巻く印刷・出版文化とその展開--『詩と真実』の視点から-」は、平成14年10月発刊予定の『ゲーテ年鑑』44号に掲載される予定である。
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Report
(2 results)
Research Products
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