スイス債務法典一七条における無因債務承認契約(reconnaissance de dette non causee)に関する研究
Project/Area Number |
12720024
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Civil law
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
柴崎 暁 山形大学, 人文学部, 助教授 (50261673)
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Project Period (FY) |
2000 – 2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2001: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 手形・小切手 / スイス債務法 / 債務承認 / 抽象債務 / 法律行為 / 原因 / 銀行取引 / 抽象的法律行為 / スイス債務法典 / 不当利得 / 単純約束 / 書証 / 裁判外の自白 |
Research Abstract |
抽象債務の一種として、手形・小切手とならんで挙げられる制度に、ドイツ民法典780条・781条の債務承認・債務約束がある。これらの行為は実体法的に、既存債務とは独立した抽象的債務負担行為と解され、日本民法においても、契約自由の原理の延長上に、同様の制度が存在すると考えられてきた。しかし、法律行為の有効性に実在かつ合法の原因を観念する立法主義(フランス法などのcausalisme)のもとでは、実体法的な抽象的債務負担行為の観念を否定し、原因を記載しない一定金額を支払う約束が存在するとしても、そのような証書を作成した場合に、原告が原因を含めた申立をしなくてよいという「証拠法的抽象」が認められるに過ぎない。日本の私法が、フランス主義を採ったのか、ドイツ主義を採ったのかは、議論の余地がある。日本の私法学では物の所有権を移転する行為の独自性が認められず、近時の議論では、契約法の分野において、causalismeに準じて解することができるとの可能性が主張されている一方で、手形行為のような抽象的債務負担行為が原因関係から実体法的に独立し抽象されていることは疑われていないかのようである。 この点、スイス債務法典は、法律行為に実在かつ合法の原因を明確に要求する主義を採ってはいないものの、causalismeの立法であると考えられ、他方、その一七条には「原因を表示しない債務承認」が規定されている。しかし同条の理解として、実体法的な抽象を認めるのでなく、もっぱら証拠法のレベルの問題としての抽象が認められているにとどまると解されている。このような理解はWalter YUNGの功績によって通説の地位を獲得するに至っている。 本研究では、YUNG論文の紹介をするとともに、現在のスイスにおける理論状況の把握、近隣諸国の民商法への影響などを調査すべく、2年間にわたって、2回の海外渡航を含めた調査研究を実施し、別掲の通り研究成果を公表している。(含公表予定)
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)