Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2001: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2000: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Research Abstract |
平成12年度に引き続き、13年度もウェッブ夫妻の社会経済思想についての研究を進めてきた。特にその福祉国家構想について,「コレクティヴィズム」(団体主義)と「ナショナル・ミニマム」との関連について,19世紀末イギリスにおける「社会進化論」のウェッブへの影響を,彼らによる「進歩」と「退化」との区別をもとに考察した。結果,彼らの社会改革構想は、「進歩」をゆだねる様々な中間団体と,「退化」を防止するための国家権力によるナショナル・ミニマム保障という二重構造を有することを明らかにした。さらに,引き続いて,20世紀初頭における「救貧法に関する王立委員会報告」(1909年),「リベラル・リフォーム」(1909-11年)をめぐって提出された,社会保障をめぐる様々な政策思想の比較研究を行った。特に,『多数派報告』の著者として知られるボーザンケト,『少数派報告』の著者ウェッブ,「リベラル・リフォーム」を背後から支えた,J.A.ホブソン,L.T.ホブハウス,および職業紹介所の設立に貢献しつつ,後に『ベヴァリッジ報告』を執筆するW.H.ベヴァリッジ(初期)の福祉政策思想を整理した。この結果,ボーザンケト,ウェッブともに福祉受給者である個々人への介入を是としており、両者の差異は、その介入主体が民間組織・慈善であるか、(ボーザンケト),国家・自治体であるか(ウェッブ)の違いにあることを明らかにした。一方,ホブソン,ホブハウス,ベヴァリッジにおいては、「マインドの進化」,「合理的経済人」の育成とその条件整備が追求されており、個々人への介入を回避する代わりに.社会保険などの権利性の強い社会保障構想を提示したことを明らかにした。さらに、今後の課題として、これら多数の論者の福祉政策(国内政策)は,あくまでイギリス国民経済の対外的なパフォーマンスをめぐっての認識とも密接に結びついていたことを自己の問題として再確認した。具体的には,同じく自由貿易主義を標榜するウェッブ,ホブソンにおいても,前者は,マーシャル的な競争力育成という観点、後者は金利生活者への批判、および所得再配分(帝国主義批判)といったフレームワークを有していることを確認した。
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