Project/Area Number |
12730060
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Public finance/Monetary economics
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
宮尾 龍蔵 神戸大学, 経済経営研究所, 助教授 (40229802)
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Project Period (FY) |
2000 – 2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 2001: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2000: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | アジア危機 / 資本流入 / 対外借入制約 / 共和分 / 時系列分析 |
Research Abstract |
本研究課題は、アジア諸国への大量の資本流入(資本収支黒字・経常収支赤字)の維持可能性の問題を、最近の実証分析の潮流である時系列分析を用いて、フォーマルに検証することを目的とする。昨年度は、予備的なデータ整備と共に、深刻な通貨危機が発生しIMFからの支援を要請したタイ、インドネシア、韓国の3ヶ国について、Hakkio and Rush(1991)のアプローチに基づいて、輸出・輸入データに関する共和分分析を行った。それらを踏まえ、本年度は、特に分析手法および分析期間の観点から拡張を試みた。まず分析手法に関しては、将来の対外負債を割り引くための実質利子率(およびその期待値)について、それが確率的に変動することが容認されるより一般的なフレームワーク-Ahmed and Rogers(1995)およびTrehan and Walsh(1991)のアプローチ-ヘと分析を拡張した。その結果、インドネシアと韓国については、全般的に借入制約条件が満たされ、巨額の資本流入(対外負債)は維持可能であることが示されたが、タイについては特に1990年代以降、借入制約が満たされないという結果が得られた。これは先に得ていたHakkio-Rushアプローチに基づく分析結果と整合的であり、それを補強するものと考えられる。次に分析期間について、通貨危機後にサンプル期間を延長し、できる限り直近(2000年)までのデータを使って同様の分析を行った。その結果、タイについても借入制約条件が満たされるということが示され、危機後2、3年の調整を経て、経済は支払い可能に戻ったという可能性が示唆された。以上の結果は、危機発生後に必要な政策対応や、国際的な最後の貸し手の問題などに対して重要な政策インプリケーションを持つものである。そういった政策含意に関する議論と併せて、その成果を論文として早期に公表したいと考えている。
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