Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
密度汎関数法は,物質の構造と電子状態をプランク定数,電気素量,電子質量の三つの基礎物理定数のみをもちいて明らかにできる方法として,物質科学において重要な役割を果たしてきた.この方法で通常採用される近似として局所密度近似を挙げることができる.この近似はその簡単さにもかかわらず多くの物理的性質をかなりよく記述できることが知られている.それにもかかわらず,いわゆる強相関電子系とよばれる物質群の電子状態には場合によっては実験とは著しく食い違う結果を与えてしまうことがある.具体的には,現実には絶縁体である物質に対して,金属であるとの誤った結果となってします.これが局所密度近似に由来するギャップ問題として知られているものである. 本研究の目的は,密度汎関数理論に基づく第一原理計算においても有効と考えられるいくつかの近似法を組織的に調べ,上に述べたギャップ問題の解決の糸口を明らかにすることである.まず,はじめに一般化密度勾配近似の妥当性を調べるために,原子に対してこの方法の適用を試みた.その結果,この方法では一電子準位の値が局所密度近似の結果にくらべてあまり改善されないことがわかった.つぎに,予備的な計算ではあるが,動的平均場理論とよばれる方法を強相関・強結合電子系の典型であるアルカリ金属ドープC60の電子状態計算に適用してみた.その結果,この方法はA3C60が金属であるのに対しA4C60が絶縁体であることを正しく記述できることがわかった.これらの結果は,さらに大規模な系の第一原理計算を行う上での重要な指針を与えるといえる.
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