フラストレートした格子上における二重交換系の数値的研究
Project/Area Number |
12740216
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
古川 信夫 青山学院大学, 理工学部, 助教授 (00238669)
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Project Period (FY) |
2000 – 2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2001: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Keywords | 二重交換模型 / フラストレーション / モンテカルロ法 / 臨界現象 / 有限サイズスケーリング / ビンダー係数 / 臨界緩和法 / 臨界指数 |
Research Abstract |
フラストレートした格子上における二重交換模型の熱力学的性質を調べるために、モンテカルロ法を用いた数値的計算手法の開発を行った。 前年度までの成果として、まず出発点として簡単な形状の格子をとりあげ、その臨界現象が計算可能であるかどうかの検証を行つた。その結果、臨界温度や臨界指数などが正確に得られ、これによって、ここで用いている計算手法の有効性や精度に関する知見を得ることができた。 これらをふまえた上で、本年度め目標として、2次元角格子をとりあげ、イジング対称性をもった二重交換模型のモンテカルロ法による計算を行った。これはフラストレーションのある最も単純な格子である。その結果、粗い見積としてこの系ではかなり低温まで磁気相関が発達しないことがわかった。また、計算結果が系のサイズ、形状、境界条件等に敏感であることも示された。 これは、フラストレーションのために低エネルギーにおけるスピン励起スペクトルが密になっているため、系の特徴的エネルギースケールがフラストレーションのない系に比べて小さくなっているからであると考えられる。また、強磁性ゆらぎ(波数0)と有限の波数をもつ揺らぎとの競合が重要であることから、系のサイズに整合する揺らぎが人工的に強調されてしまうことが予想される。 したがって、このような系の振る舞いを正確に取り扱うためには取り扱う系のサイズも相応に大きくする必要がある。前年度までの計算アルゴリズムは、計算時間が系のサイズの三乗に比例するものであったため、系のサイズを大きくすることには限界があった。このため、我々は計算時間が系のサイズに比例する新たなアルゴリズムを開発した。これによって、取り扱える系のサイズが一桁程度大きくなることが確認された。今後は、この新しいアルゴリズムを用いて物理量等の計算を行い、フラストレーションが物性に与える影響を定量的に評価する予定である。
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Report
(2 results)
Research Products
(11 results)