Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2001: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
蛋白質は,分離できない多くの時間スケールを含む多自由度系である.蛋白質の動力学を有限な数値時間で効率的に計算できる新たな数値モデリングを行なうため,分離できない時間スケールの削減の方法を探ることが最終目的であった.この目的達成のため分離できない2つの時間スケールを含む小自由度系を確率微分方程式で定式化したミニマルモデルの研究を行ってきた.ミニマルモデルとして取り上げてきたのは,確率共鳴現象(SR)とResonant Activationのモデルである.これらの問題は多様な自然現象に現れ,その本質的な理解は未だなされていないため,これらの現象の動的性質の理解を当初の目的とした. 二重井戸ポテンシャルに振動する外場を加えたモデルで表されるSRを昨年度から研究してきたが,その運動の位相と外場の位相の差を調べ,位相差がSRのよい指標になるという結果を得,本論文として投稿し掲載された.また,さまざまな生物の感覚器等においてSRが見られることから,閾値系でのSRも調べられており,それについて調べた.伝送路の用語で述べると,時系列である入力信号にノイズが加わり,それが閾値をこえたとき出力があり,こえないと出力がないシステムを考える.信号として周期的時系列・カオス時系列・時間相関のない一様乱数列の3つで数値実験を行い,信号と出力の間の相互情報量を測定した.その結果,すべての場合でSRがみられた.3つの結果には定性的な違いはみられなかったが,定量的には周期的信号で最も共鳴が強かった.3つの時系列の違いは,時間相関の度合いの差にある.一様乱数列によるSRと時間相関のある時系列のSRとの識別は,生体情報処理にとって重要であると考えられるので,時間的に連続した2つの信号の相関を考慮した相互情報量を調べることで,信号の識別を試みたが,定性的な相違は見られなかった.
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