マンガン酸化物における電荷・スピン・軌道秩序状態とベリー位相
Project/Area Number |
12740230
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
物性一般(含基礎論)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堀田 貴嗣 東大, 物性研究所, 助手 (00262163)
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Project Period (FY) |
2000 – 2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2001: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Keywords | マンガン酸化物 / ストライプ構造 / 電荷整列 / 軌道整列 / ヤーンテラー歪み / ベリー位相 / トポロジカル不変量 / 巻き数 |
Research Abstract |
巨大な負の磁気抵抗現象を示すマンガン酸化物は、高密度磁気記録読み取り用ヘッドとしての工業的応用の見地から大きな注目を集めているが、物性理論の立場からは、軌道自由度が本質的に重要な役割を果たす典型的な系として様々な角度から研究が行われてきた。負の磁気抵抗現象については、局在したt_<2g>スピンが強磁性的に揃うことによって遍歴的なe_g電子の散乱が抑えられて抵抗が減少するという、いわゆる「二重交換機構」によって概ね理解されてきたが、実際のマンガン酸化物の相図は非常に複雑であり、とりわけ、doping量xに応じてしばしば複雑な電荷・軌道整列が現れるが、それは単純な二重交換機構では理解することができない。この電荷・軌道整列現象が、マンガン酸化物における負の磁気抵抗を「超巨大」にする上で本質的に重要な役割を果たしているという可能性が考えられる。そのような観点から、本研究においては、ヤーンテラー歪みと強く結合した軌道縮退のある二重交換模型に基づいて、マンガン酸化物の電荷・軌道整列を系統的に研究してきた。主な成果は、x=0におけるA-タイプ反強磁性およびC-タイプ軌道整列の説明、x=0.5におけるCE-タイプ反強磁性相と電荷・軌道整列の説明および電荷積層構造の起源の解明、x=2/3や3/4における2種類の奇妙な電荷縞構造(「ウィグナー結晶」構造と「バイストライプ」構造)のトポロジカル不変量による説明、x=1/4や3/8における電荷・軌道整列と磁場誘起絶縁体・金属転移の説明、ヤーンテラー歪みとクーロン相互作用に対する平均場近似の定式化、などである。最近、中性子散乱実験において、キュリー温度近傍でストライプ型電荷整列を示唆する結果が得られているのだが、それによると、x=0.2付近では電荷がMn-0のボンドの方向に整列しているが、x=0.3以上になると、電荷は対角線方向に整列するようになり、しかもこのストライプ構造がそのままz-方向に積層するのである。これを理解するための第一歩としてまず、x=0.3近傍の「超巨大磁気抵抗領域」における電荷・軌道整列現象を2次元系で詳細に調べた。その結果、協力的ヤーンテラー効果をきちんと考慮することによって、実験結果と定性的に一致する対角線方向のストライプ電荷整列が現れることを見出した。これは、軌道の自由度を擬スピンに置き換えれば、ニッケル酸化物で見出されている対角線方向のスピン・電荷ストライプと完全に一致することから、遷移金属酸化物に共通の非一様電荷構造であると考えられる。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)