Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 2001: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Research Abstract |
古典情報と量子情報の振る舞いの違いを追及する中で,本年度は,量子情報の基本的間題のひとつについて解答を与えた.情報科学の基本的で重要な問題のひとつに,情報の大きさの定量化がある.定量化の一つの方法は,データを圧縮して記述するのに必要な最短のビット長を求めることであり,ある確率分布に従う古典データの場合はその値が確率分布のシャノン・エントロピーで与えられることが知られている.量子情報では,確率分布に従い純粋状態が生成されるような量子データの場合,最低限必要な量子ビットの数がフォンノイマン・エントロピーで与えられることが7, 8年前に明らかにされたが,一般に混合状態まで含んだデータの場合にどこまで圧縮できるのかという問題は,以来未解決のまま残されていた.前年度までの我々の研究の中で,一般の混合状態からなるデータの載った量子系が情報の取得に際してどのような影響を受けるのかの詳細が明らかにされてきたが,今回,その理論を量子データの圧縮の問題に適用することで,一般の量子データの最適な圧縮率を求めることに成功した. 前年度,線形光学素子を用いて,多光子のエンタングルメントを確率的ではあるが自由に制御する系統的な手法を提案したが,一般の操作には多くの光子対の発生が必要となる.現時点での実験技術では,同時に発生出来る光子対の数は最大二対であるため,今回,そのような現実的な状況下の中で,エンタングルメントの濃縮という基本的な操作を実現する手法を提案した.エンタングルメントの濃縮は,伝送路の損失等によって,送受信者間に配られるエンタングルメントが不完全な場合に,対の数を減らすかわりにエンタングルメントを完全なものにする操作であり,量子暗号やテレポーテーションなどの量子通信を現実的な伝送路で行う上での基本的な技術となる.
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