Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2001: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
本研究は,オーストラリアおよび日本で採取した各種系列(Sタイプ/Iタイプおよびチタン鉄鉱系列/磁鉄鉱系列)の花崗岩に含まれる気体炭素化合物の分析を行い,各系列に特徴的な気体炭素化合物の組成を明らかにし,それらの成分の熱力学的平衡に着目して花崗岩生成時の温度・酸素分圧などの推定を試みたものである。研究方法として,花崗岩試料を密閉容器内で破砕し,その際放出される気体をガスクロマトグラフに導入して,含まれている炭素化合物の分析を行った。 本研究の成果として,オーストラリアおよび日本の花崗岩いずれについても,従来の鉱物学的な研究結果と調和する気体炭素化合物の組成の特徴が明らかとなった。例えばオーストラリアの花崗岩については,Iタイプは明らかに二酸化炭素に富む傾向が見られたが,Sタイプにはこのような分布の偏りは認められなかった。このことは,温度・対数酸素分圧ダイアグラムにおいて,Iタイプは二酸化炭素・メタンバッファを示す線から離れた二酸化炭素側に分布するのに対して,Sタイプは同バッファを挟むように分布するとした過去の研究結果と調和的であった。一方日本のものについては,還元的環境で生成されたと考えられるチタン鉄鉱系列はメタンに富む傾向を示したこと,酸化的環境の磁鉄鉱系列からはメタンがほとんど検出されなかったことのいずれも鉱物学的な特徴とよく一致した。そして二酸化炭素・メタンの組成が,岩石生成時の酸化還元度を示す指標として有効であることをより具体的に検証するために,個々の試料について鉄の分析を行い,三価鉄/二価鉄比と二酸化炭素/メタン比との間に正の相関関係があることを見いだした。 花崗岩生成時の温度・酸素分圧などの推定については,これに必要な岩石中極微量プロパンの分析値が用いた分析装置の検出感度の不足によって十分得られず,分析装置の感度向上が本研究を推進してしく上での今後の課題である。
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