Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2001: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Research Abstract |
平成12年度では,研究代表者はアルケニルフィッシャーカルベン錯体とイミンが新規[3+2]型付加環化反応を起こし,3-ピロリン誘導体が良好な収率かつトランス選択性で得られることを見出した。また,3-ピロリン誘導体は加水分解により,対応する3-ピロリジノン誘導体へ変換できることを報告した。平成13年度では,この反応の不斉化を試み,キラルアルケニルフィッシャーカルベン錯体とイミンの不斉[3+2]型付加環化反応の開発を目指した。その結果,触媒量のSn(OTf)_2存在下,(-)-8-フェニルメントールから調製したキラルアルケニルフィッシャーカルベン錯体とN-ベンジリデンアニリンを反応させたところ,速やかに付加環化反応が進行し,3-ピロリン誘導体が4種類のジアステレオマー混合物として51%の収率で得られた。反応はトランス選択的に進行し(トランス:シス=84;16),トランス体のジアステレオマー比は95:5であった。X線結晶構造解析法により主トランスジアステレオマーの絶対立体配置は2S,5Rと決定した。この条件下,上記の錯体と種々のイミンとの反応を行ったところ,パラ置換ベンズアルデヒドとパラ置換アニリンから調製したイミンを用いた場合には,いずれも高いトランス/シス選択性かつ高いジアステレオ面選択性で反応を進行させることに成功した。ここで得られたジアステレオマー混合物はクロマトグラフィーにより単一のトランスジアステレオマーへ精製することができ,さらにこれを加水分解することにより,光学的に純粋な3-ピロリジノン誘導体へ変換できた。なお,この際不斉補助剤(-)-8-フェニルメントールを高収率で回収した。従来光学活性トランス-3-ピロリジノン誘導体を合成する方法は無く,本手法がこれらの化合物を共給する手段の一つになるものと考えている。
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