Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
|
Research Abstract |
申請課題について,2年間にわたり受けた助成金によっておこなった研究の成果は,2つの論文にまとめられた.名古屋市立大学の清水昭信教授との共同研究では,環境収容力が十分大きい場合について,メタ個体群が絶滅するまでに要する時間の平均値を数学的に厳密に求めた.いままで知られている公式は,環境収容力がある程度大きくなると計算が煩雑で実用上は使い物にならない.そこで,われわれが得た公式によって,見通しのよい結果を与えることができる.また,環境収容力が極端に小さくない限りよい値を与えることもわかった.一方,ヘルシンキ大学のIlkka Hanski教授のグループとの共同研究では,格子モデルを用いたメタ個体群動態を解析した.全体的な生息地破壊の大きさが同じ場合に,密集しているときとばらばらなときについて,最終的に維持される個体群密度を比較した.その結果,いままで行われている計算機シミュレーションによるいくつかの研究報告と同じように,生息地破壊は固まって生じる方が個体群密度は高く維持されることがわかった.われわれの結論は,ペア近似とメタ個体群収容力の2つの方法によって定性的に得られたところに特徴がある.これらの研究成果は,保全生態学的な観点から,希少種の存続を考えるための基礎的なモデル解析として,今後の発展に結びつくものであると信じている.
|