実世界のカオスに影響を及ぼすダイナミカルノイズの定量的評価
Project/Area Number |
12750055
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Engineering fundamentals
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
等々力 賢 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (10270886)
|
Project Period (FY) |
2000 – 2001
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
|
Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 2001: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
|
Keywords | カオス / ダイナミカルノイズ / 特異値分解 / ゆらぎ / 電子回路 / 測定ノイズ |
Research Abstract |
実世界のカオスに影響を与える「ダイナミカルノイズ」の解析を行った。「ダイナミカルノイズ」は「測定ノイズ」と比べて、カオス力学系に本質的であるにも拘わらずこれまで十分に解析されてはいなかった。原因はその複雑なメカニズムにあったが、本研究では、「ダイナミカルノイズ」の影響はカオス力学系の幾何学的性質を表す直交基底ベクトルへの時間的なゆらぎに現れるものと仮定してその単純化を図った。 特異値分解法を導入して直交基底ベクトルの代わりに特異値を考え、その時間的なゆらぎの有無を調べた。その際、計算機上で人工的に作成した種々のノイズを含む時系列データを作成し比較を行った。その結果、「ダイナミカルノイズ」を含む時系列データの場合には、「ノイズなし」の時系列データ及び「測定ノイズ」を含む時系列データと比較して、非常に顕著な特異値の時間的なゆらぎが観測された。これは、従来から非常に困難であった「ダイナミカルノイズ」と「測定ノイズ」との区別が本手法により可能であることを示している。 この結果を踏まえ、次に時間的なゆらぎの程度を定量化することを試みた。時系列予測での評価に用いられる相関係数及び正規化平均自乗誤差をゆらぎの指標として導入したところ、「ダイナミカルノイズ」が含まれる場合には、含まれない場合に比べて極めて異なる指標値を示すことがわかった。この指標値自体は「ダイナミカルノイズ」のゆらぎの大きさと密接に関連していると考えられる為、これら指標値の導入により「ダイナミカルノイズ」の定量的な評価へ可能性が示唆された。上記の結果は電子回路での実験結果でもある程度裏付けられている。これより、本手法は、実世界のカオスの解析に有益な手法であることがわかった。 今後はさらに他のカオス力学系への適用可能性を調べることにより、本手法の有効性を示して行きたいと考えている。
|
Report
(2 results)
Research Products
(6 results)