Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
網膜に投影された外界像は,視細胞により並列的に受容され,水平細胞,双極細胞等からなる網膜神経回路による実時間情報処理を受け,神経節細胞で神経インパルス列に変換される.本研究は,こうした網膜内での一連の情報処理過程を数理モデルとして記述することになって,色情報,空間情報,動き情報等の視覚情報がどのように符号化されるのか,その具体的機構と機能的意義を明らかとすることを目的としている. 前年度までの研究によって,網膜を構成する5種類の基本的な神経細胞のうち3種類の細胞,すなわち,視細胞,水平細胞,双極細胞の数理モデルが完成した.そこで,本年度は,網膜の入力から出力に至る一連の過程の数理モデルの完成を目指し,網膜の出力を担う神経節細胞のスパイク発生機構に関する数理モデル化を行った. 従来モデルにおいては,細胞膜上で確率的に開閉している個々のイオンチャネル全体の活動をマクロに記述した微分方程式により,細胞膜の特性を記述していた.しかしながら,神経インパルスを発生する神経細胞では,イオンチャネルの確率的な振る舞いがインパルス発火パターンに影響を与える可能性が指摘されていた.そこで,神経節細胞の4種類のイオンチャネルについて,確率的な特性を記述した数理モデルを構築した. 確率的モデルと従来の微分方程式モデルのシミュレーション結果を比較した所,確率的モデルでは入力変動に対しても比較的安定したスパイクパターンが発生することから,網膜の視覚情報の符号化において,イオンチャネルの確率的挙動が重要な役割を果たしていることが示唆された.
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