Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2001: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Research Abstract |
本研究では,まず,構造物から取り出した部材セグメントを対象に,せん断荷重を受ける鋼製箱形断面短柱の強度とダクティリティーに関する数値解析的研究を行った.その成果をまとめると次のようになる.(1)せん断を受ける補剛板の最適剛比を求める近似式を示した.(2)補剛箱形断面部材の非弾性せん断挙動はプレートガーダーの場合に類似し,補剛材があるにも関わらずウェブ全体で1つの斜張力場が形成される.また,フランジに対する斜張力場のアンカー長さがウェブ長さの2/3にまで達する.ただし,その長さがフランジの幅厚比に若干影響されることがある.(3)せん断強度は載荷履歴に対する敏感度が低い.一方,せん断変形能に及ぼす載荷履歴の影響が非常に厚肉のウェブプレートでは大きいものの,その他の場合は強度と同様に無視できる程度である.(4)ウェブプレートの幅厚比がせん断強度とせん断変形能の予測においては最も支配的なパラメータである.その他のパラメータ,例えば,フランジの幅厚比パラメータと補剛材剛比,ウェブのアスペクト比と補剛材剛比による影響は無視してもよい.(5)せん断強度の推定は,ECCSの経験式を用いてよい.(6)ウェブプレートの幅厚比のみで表された提案式よりせん断変形能を推定することができる.(7)このモデルの妥当性を実験結果との比較により検討できている. 次に,単柱式橋脚のみならず,種々の構造形態を有する薄肉鋼構造物の限界値(保有性能)を評価するためのPushover解析手法が示されている.この手法の妥当性を検討するために,単柱式鋼製橋脚と1層ラーメンに対して,Pushover解析を行い,強度と変形能の予測値を過去の準静的実験および解析結果と比較している.その結果,本提案法が良い精度で強度と変形能を推定できることが示されている.また,Pushover解析による,多層ラーメン構造物の耐震照査法の提案を行っている.提案法は,Pushover解析を介して多層ラーメン構造物(MDOF)を等価な1自由度系(ESDOF)に置き換え,ESDOFの時刻歴応答解析からMDOFの応答量を推定し耐震照査を行うものである.提案法の妥当性を示すために,鋼材の繰り返し弾塑性挙動を高い精度で解析可能な修正二曲面モデルを用いてMDOFの弾塑性地震応答解析を行っている.これにより,ESDOFの弾塑性地震応答解析によりMDOFの応答塑性率(最大応答変位)を10%程度以内の誤差で推定できることを示している.一方,ESDOFの弾塑性解析によるMDOFの残留変位の推定の精度が極端に悪いことも明らかにし,単柱式鋼製橋脚の実験から求められた強留変位推定式はラーメン構造物に対しても適用できる可能性を示唆している. さらに,橋軸直角方向の地震動を受ける多径間連続高架橋を対象に,Pushover解析と等価な1自由度系モデルによる応答変位の推測手法を拡張し,パラメトリック解析によって適用範囲を検討している. なお,コンクリート充填鋼製橋脚に対しても適用し,静的解析と動的解析の面から検討を行い,本提案法の有用性を過去の実験結果との比較により示している.
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