Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2001: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
前年度の成果を踏まえ,まず,生活行動シミュレータの改良を行なった.現況再現性を低下させる原因としては,生活行動を取り巻く様々な制約条件が十分に考慮されていないことが大きいと考え,stochastic frontier modelを援用し,観測不可能な睡眠・在宅制約時刻のモデル化を行なった.また,前年度構築した逐次的意思決定モデルで問題となった活動スケジューリング段階をモデル化し,シミュレーションシステムの最上位に統合した.その結果,現況再現性は大きく向上したものの,依然として実務に適用できるレベルにはないことが判明した.これは,モデルシステムに多くの改良の余地があるものの,効用理論に基づいて生活行動全般を再現することの限界を示唆しているものと考えられる. そこで,行動理論は採用せず,回帰モデルのように現象記述的に生活行動を再現するモデルの構築を行なった.具体的には,生存時間解析に用いられる競合危険モデルを用いて,鉄道利用者の1週間の生活行動を記述するモデルを構築した.その結果,1)1週間という膨大な生活行動も比較的容易にモデル化可能である,2)買い物などの日常的な活動については日変動を良好に再現し得る,3)一方,レジャーなどの非日常的活動については,1週間の行動の観測データのみでは不十分であり,より長期の調査を必要とする,等の知見が得られた. 上記2つの生活行動モデルとは別に,個人の限定合理性を明示的に考慮した行動モデルの構築も併せて行なった.意思決定者は必ずしも全ての交通サービス属性を評価しているとは限らないとの認識から,潜在クラスアプローチによって個人ごとに異なる評価属性集合を考慮した離散選択モデルを構築した.その結果,1)計算時間は実用範囲内にある,2)既存モデルと比較して現況再現性が向上し,かつ予測においても実世界と直感的に整合的である,3)政策決定に際して有益かつ豊穣な情報を提供し得る,ことが明らかとなった.
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