非線形吸収を利用した高出力レーザー用パワーリミッティングガラスの開発
Project/Area Number |
12750739
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
無機工業化学
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
橋本 忠範 三重大学, 工学部, 助手 (10271016)
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Project Period (FY) |
2000 – 2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2001: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Keywords | 非線形吸収 / パワーリミッティング / 傾斜材料 / 鉛高含有ガラス / ガラス |
Research Abstract |
次世代の高度情報化社会を支える光情報材料として期待されている非線形光学材料に関する研究を行った。非線形屈折ならびに非線形吸収は光Kerr効果や二光子吸収に基づく超高速光スイッチ、光ソリトンならびにパワーリミッターなどへの応用が期待される。YAGレーザーと共によく使われる波長変換用単結晶は非常に高価であるが、光学系の中で高強度の光照射に最も弱い箇所の一つであり、このような素子を保護したいというニーズがある。パワーリミッターは高強度の入射光を瞬間的に遮断するブレーカーのように働き、素子を保護することができる。 本研究では、入射光強度に依存する吸収特性、すなわち非線形吸収を利用した高出力レーザー用パワーリミッティングガラスの開発を行った。大きな二光子吸収係数βを示しパワーリッミッティングガラスとして有望視されている鉛含有ガラスを中心にβならびに破壊しきい値を調べることでガラス組成の最適化を行うと共に、パワーリミッティングに最適な光学配置の設計を行った。パワーリミッティング特性を非線形屈折と非線形吸収を符号を含め評価できるZ-scan法を用いて調査した結果、以下に示す結論を得た。 鉛含有量の増大に伴い、バンドギャップは狭くなりβは増大した。このことからPb6s→Pb6p遷移がこのガラスの二光子吸収過程を支配していると考えられた。また、ガラス系の違いによりガラス中の鉛の共有性に違いが見られた。さらに、共有性の高いPbO_4ユニット内のPb6s→Pb6p遷移がβの増大に大きく寄与していると考えられた。 また、ガラスのβとレーザーによる破壊しきい値の関係は、一定の測定条件下では反比例の関係にあることから、一枚のガラスでは大きなβと高い破壊しきい値を同時に実現することは困難であることがわかった。そこで、大きなβを持つガラスの前に、高い破壊しきい値を持つガラスを配置することである程度の向上が見られた。 次に、二枚重ねサンプルよりもさらにパワーリミッティング特性が向上するようなサンプルとして組成傾斜ガラスを考えた。具体的には、熱処理することで鉛イオン濃度に傾斜を持たせたガラスを作製し、パワーリミッティング特性の調査を行った。熱処理だけでは鉛イオンの濃度に傾斜を持たせることはできたが、その領域は狭くパワーリミッティング特性を大きく向上させることはできなかった。熱ポーリングにより鉛イオン濃度に傾斜をつけた組成傾斜ガラスに対してはパワーリミッティング特性に向上が見られた。
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Report
(2 results)
Research Products
(8 results)