Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2000: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Research Abstract |
植物の生体電位の測定は、植物の生長過程での生理現象を、電位差という物理現象で捉えることができるという点で近年非常に注目されている。同様の方法は、樹木のような長期間の観測が必要な植物を対象とする研究においても、その生育や育種の過程に対するモニタリング技術としての活用が期待されているものである。 本研究では、植物とくに木本植物である樹木の生理活動の長期観測、生長条件について明らかするために,葉や幹軸の表面、あるいは内部に生じる非常に微弱な電位を測定するシステムの開発と,樹木の生体活動を生体電位によってモニタリングするために必要な基礎データの収集を行った。この研究の成果は以下に示すとおりである。 1.樹木はもちろん,植物は非常にインピーダンスの高い測定対象であり、測定時のノイズ混入が大きな問題となる。そこで、単に測定し、樹木の生体電位活動の測定、分析を行うだけでなく、高インピーダンス対応増幅器、入力センサー、測定・分析プログラム、さらには電磁シールドなどを自作して、より合理的な測定系システムを開発した。開発したのは高インピーダンス対応の増幅器(4次ベッセル型低域フィルタ付増幅器を中心として)であり、高インピーダンス(10^<-15>Ω)、高サンプリング速度(1/100sec.)に対応し、入力波形の再現にも適したシステムを実現させた。さらに、開発した増幅器等に対応した計測プログラムを制作し、デスクトップ型PCと接続して測定することを可能とした。さらに携帯型PC、多点入力が可能なA/D変換ボード、CGl開発言語による分析プログラミングによって、携帯型の測定システム,ネットワーク対応型の開発を行った。 2.開発したシステムにより樹木(スギ),そして生体電位が得られやすいとされる観葉植物(カポック)を用い,システムによる植物生体電位の測定をおこなった。とくに,供試した植物の温度,湿度,光条件の変化に対する電位反応について検討を行い,条件変化に対する電位反応補足に良好な測定箇所を見出すなど,生体電位計測のための基礎的かつ重要な知見について明らかにした。 3.生体電位反応の再現性や定量化について検討した結果,電極取付位置や与えられた刺激条件の種類によって類似した電位反応の推移を見せること,特定の刺激に対しては反応パターンがあることなどを明らかにした。また,測定対象が高インピーダンスの植物であること,個体差,測定環境の違いなどによる測定誤差,A-D変換誤差,ノイズなどが含まれる1次データの分析を進め,生体電位反応にみらる生体電位反応の再現性について基礎的なデータを収集することができた。 研究環境が依然として十分な状況ではないこともあり,この研究に関しては課題も山積している。しかし,今回の研究で植物生体電位について多くの知見を得ることができた。さらに検討を重ね,林業をはじめとする植物利用技術に資する研究,成果を積み重ねていく必要がある。 なお、本研究の成果の一部については、日本産業技術教育学会全国大会(平成13年8月,愛知),同学会関東支部大会(平成12年11月(横浜),平成12年11月(山梨))、日本木材学会全国大会(平成13年4月(東京),平成14年4月(岐阜))で発表した。
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