Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2001: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2000: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Research Abstract |
本研究の目的は「食料・農業・農村基本法」の下で増産が目指されている麦について,「新たな麦政策大綱」「水田営農活性化対策大綱」の枠組みを踏まえながら,その生産の安定的拡大のために求められる生産・販売戦略について考察することであった。本研究の成果は以下のとおりである。 「新たな麦政策大綱」に沿って,麦の売買は政府を経由しない民間流通に移行し,その価格も入札取引を基本として決定されることになったが,それは,生産者に対して品質の向上,コストダウンを従来以上に求めるものとなった。このため,現在,各地で借地や作業受託による経営規模拡大が積極的に進められている。従来からの麦の主産地である福岡県でも,先進的農家によって転作対応を含めた大規模借地麦作の取り組みが進められている。すなわち,転作奨励金を貸手農家が受け取る代わりに小作料を非常に低い水準に抑えてもらい,加えて規模拡大によるコストダウンによって麦作所得を確保する,という形態である。このような取り組みに対して,農協系統は品質向上のための技術指導,販売先の確保・開拓という側面から援助を行っている。このような支援体制の下で現在のところ,福岡県の麦作は一定の伸びを見せている。 ここから,地域における生産体制の確立,農協系統の支援が,国産麦の安定的拡大のために有効であることがわかった。同時に,貸し手農家からは転作奨励金が下がるならば小作料を引き上げたいという要望があり,借地農家からも入札価格が今後も低下傾向を続けるならば麦作の継続は難しいという声が出ているのであって,国産麦の安定的拡大のためには,農家や農協系統の努力だけではなく,それを支える制度的な枠組みが必要とされていることも明らかになった。
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