Research Abstract |
運搬用二足歩行ロボットの開発のための基礎研究に取り組んだ.従来の二足歩行ロボットとは異なる冗長双脚機構を新規に導入し,そのための非干渉統合制御法を提案した点が本研究課題の特長である.この手法により,ロボット遊脚の着地時に生じる衝撃力が抑制され,着地面の剛性に影響されない安定な着地動作が達成された. 従来の一般的な二足歩行ロボットは,片脚が股関節,膝,足首からなる3関節で構成される.このとき,腰位置に対して足先の位置と方向が決定されれば,片脚全体の姿勢も同時に決定される.一方,提案した冗長脚はそれ以上の関節数を有し,足先の位置と方向が決定されても脚は任意の姿勢を選択することが可能である.つまり足先が固定されても腿や脛の位置を変化させることができる.このことは,足先の位置・方向と脚の質量中心位置(脚重心位置)を独立して制御できることを示している. 本研究課題では,(1)冗長双脚機構の実機製作,(2)非干渉制御則に基づく足先と重心の独立制御,(3)実機による遊脚着地時の衝撃力抑制,について実施した. (1)については,設計・製作・試験を実施し,さらに関節角制御に基づいて二足歩行を実現した. (2)については,計算機シミュレーションによる理論検証ののち,実機を用いて足先の位置・方向制御,重心のみの位置制御が実現できることを確認した.さらに,足先と重心のそれぞれの軌道生成に基づく動作試験により提案した制御則の有効性を検証した. (3)については,実機実験により,提案した手法の有効性を実証した.この中で,(1)冗長脚の導入により着地衝撃力を緩和することができる,(2)着地時に脚重心を制御することで着地衝撃力を一層低減させることができる,などの知見を得た.これらの成果を学術論文として公表し,良い評価を得ている.(柴田,他「冗長脚の適用による二足ロボットの着地衝撃力緩和」電学論D,Vol.122-D,No.2,pp197-198(2002)) 以上の様に,本研究課題では所期の目標を達成し,十分な成果を得ている.今後の発展的な研究開発のためにたいへん有用な知見を得ることができた.
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