Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2001: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
成熟ICRマウス肝臓を用い,0.5μm厚の未固定凍結切片と固定エポン切片を作成し,X線微小元素分析による鉄の定量解析の有用性を比較した.ついで胎生13日の肝臓未固定凍結切片で,赤血球系造血細胞と肝芽細胞で鉄カウント値を計測した.成体肝臓のエポン切片では,対照値(60.9±3.4)に比べ,赤血球は有意(p<0.01)に高い鉄カウント値(95.8±14.6)をとるが,肝細胞細胞質では有意差は認められない.一方凍結切片では,赤血球においてエポン切片の約3倍の高値(353.6±26.8)を示し,肝細胞細胞質でも対照値の約1.5倍の有意の高値をとる.胎生13日肝臓で,赤血球系造血細胞細胞質は,いずれも対照値と比べ高い鉄カウント値(131.8〜307.6)をとる.また,成熟赤血球および脱核中の赤芽球細胞質は共に,多染・好塩基赤芽球に対し,2倍以上の高鉄カウント値を示す.胎生13日の肝芽細胞は細胞質内にジデロソームを少数含み,ジデロソームは約1000の高鉄カウント値を示すが,それ以外の細胞質では低値(60.8±4.9)である.未固定凍結切片を用いた分析電顕による定量観察により,赤血球系造血細胞の成熟段階を鉄元素を指標として表現することが可能である.また,鉄元素は成体の肝細胞では細胞質中に濔滞漫性に散在するが,肝臓造血を行う胎子では細胞質内にジデロソームとして局所的に濃縮して存在し,肝細胞の細胞質内における鉄の分布様式は胎生肝臓造血最盛期と生後とでは著しい差違が存在すると考えられる.
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