心筋の長さ-張力関係の分子メカニズム-細いフィラメント再構成法を用いた研究-
Project/Area Number |
12770023
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
General physiology
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
福田 紀男 慈恵医大, 医学部, 助手 (30301534)
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Project Period (FY) |
2000 – 2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2001: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 心筋 / 収縮タンパク系 / 収縮 / コネクチン / サルコメア長 / トリプシン / Ca^+ / 静止張力 |
Research Abstract |
心筋の長さ依存性張力発生機構(筋長効果)のメカニズムについて、弾性フィラメントのコネクチンの役割に着目して検討した。ラットの右心室から肉柱(長さ:約2mm、直径:約100μm)を摘出し、Triton X-100にて除膜処理を行い、スキンド心筋を得た。このスキンド心筋を低濃度のトリプシンで処理すると、コネクチンが選択的に分解されて静止張力が低下した(サルコメア長:2.0〜2.4μm)。トリプシン処理は他の収縮タンパクには影響を与えないことをSDS-PAGEで確認した。トリプシン処理を行っても筋の直径は変化せず、伸展に対して体積一定の関係が保たれていた。よって、筋の伸展にともなう格子間隔(太いフィラメントと細いフィラメントの間隔)の縮小はトリプシン処理の影響を受けないことが示された。Ca活性化張力はサルコメア長が静止張力の発生しないスラック長(1.9μm)ではトリプシン処理の影響を受けなかったが、サルコメア長2.0〜2.4μmでは顕著に低下し、長さ-張力関係の傾きが低下した。トリプシン処理標本において、短時間の収縮ではサルコメア構造に変化が見られないことを共焦点顕微鏡で確認した。よって、トリプシン処理後の長さ-張力関係の傾きの低下は、サルコメア構造の乱れによるものではないと考えられた。一方、高分子のデキストランを加えると、浸透圧圧縮によって格子間隔が縮小するとともに活性張力が上昇したが(サルコメア長:1.9μm)、トリプシン処理はデキストランによる張力の上昇に影響を与えなかった。 コネクチンはサルコメアのA帯において、太いフィラメントと結合している。したがって、コネクチンが伸展されると太いフィラメントに構造変化が起こり、結果としてクロスブリッジの形成が促進することが推測される。今回の研究結果は、心筋の筋長効果が収縮タンパク系レベルでは主に格子間隔の縮小とコネクチンの伸展により調節されていることを示唆している。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)