Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 2001: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
本研究では,アポトーシス誘導能を有する細胞外情報伝達分子,TRAIL,およびFAS-Lの遺伝子を用いた癌の遺伝子治療の系を開発することを目的とした.これらの遺伝子の発現ユニットを有する,EBVエピゾーマルベクター(EBVのEBNA1遺伝子とoriPを有する)とコンベンショナルなプラスミドベクターを作成した.腫瘍細胞として,ユーイング肉腫細胞株,A4573,肝細胞癌細胞株,HuH7と,前立腺癌細胞株,PC3とLNCapを標的とした.導入法としては,ポリアミドアミン・デンドリマー,またはEffecteneを用いた.in vitroの導入では,まずマーカー遺伝子の導入において,いずれの細胞でも有意な発現が認められたが,EBVエピゾーマルベクターとコンベンショナルなプラスミドベクターの比較では,前者により後者に比し数倍から数十倍高い発現が認められた.アポトーシス誘導分子の遺伝子の導入では,HuH7とPC3では著明な細胞死が見られ,導入後数日で生細胞が激減したのに対し,A4573細胞では導入後一過性な細胞死に引き続き,生き残った細胞の増殖が著明であった.細胞死はアポトーシスによることがTUNEL法により確認できた.in vivo導入実験では,LNCap,またはPC3をSCIDマウス皮下に移植し,担癌モデルマウスを作成した.腫瘍が形成されたのちに,腫瘍内にEBVエピゾーマルベクターとポリマー複合体を注入し,腫瘍の大きさとマウスの生存を観察すると,治療群で有意な腫瘍の増殖抑制とマウスの延命効果が得られた.切除した腫瘍を電子顕微鏡的に検索すると,核の濃縮,クロマチンの凝集といった典型的なアポトーシスの形態が検出された.以上から,アポトーシス誘導分子による癌の遺伝子治療の可能性がin vitro,in vivoの両方の系で示された.
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