Research Project
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
平成12年度は、紀伊半島筋萎縮性側索硬化症(ALS)多発地域における、筋萎縮性側索硬化症(ALS)/パーキンソニズム痴呆複合(parkinsonism-dementia complex:PDC)患者、通常のALS患者、パーキンソン病(PD)患者と健常人を対象として、以下の神経生理学的検討を行った。1.末梢神経伝導検査疾患特異性はなく、すべての患者において健常対照群と同じ結果が得られた。2.体性感覚誘発電位(somatosensory evoked potentials:SEPs)患者および健常対照群に同様の方法で検査を行った。導出された波形の潜時や振幅に疾患特異性のある有意な差はなかった。3.SEP回復曲線患者および健常対照群に同様の方法で検査を行った。N20-P25頂点間振幅の変化について検討し、大脳感覚野の抑制機構の異常について検討した。その結果、ALS/PDC患者、特に痴呆症状があるものや家族歴があるもので、抑制の程度が正常対象と比べて有意に弱く、大脳感覚野皮質内抑制機構に異常があると推測された。ALS、PD患者では、健常対照群と優位な差はかった。・3の結果が、疾患の神経病理学的な異常とどのように関連しているかについては今後の検討が必要であると考える。・今後、大脳運動野の機能評価も行っていく予定である。