Research Abstract |
【目的】内皮細胞間ギャップジャンクションの一蛋白であるコネキチン(connexin)のグループが動脈硬化の様々な形成過程に関与することが報告されている。最近になり頚動脈の動脈硬化病変の有無とconnexin37の遺伝子多型C1019Tとの関連を示唆する報告がなされた。しかし、この遺伝子多型と虚血性脳血管障害や虚血性心疾患症例との関連についての検索はされていない。今回、我々は虚血性脳血管障害との関係について検討した。 【対象・方法】当院通院中の虚血性脳血管障害患者220名(年齢59.0±6.7)(アテローム血栓性脳梗塞;62名、ラクナ梗塞;137名、一過性脳虚血性発作;21名)及び健常者対照群として当院職員検診受信者316名(年齢58.6±4.3)を対象とした。全例より、紙面にてインフォームドコンセントを得た上で、PCR-RFLP法を用いてconnexin37の遺伝子多型C1019Tを解析した。 【結果】Genotypeは虚血性脳血管障害患者ではそれぞれC/C 60.9%,C/T 29.5%,T/T 9.5%,健常対照群ではそれぞれC/C 67.4%,C/T 28.2%,T/T 4.4%であった。脳血管障害患者にてT alleleが有意に多かった(P=0.04)。また、高血圧群でT alleleが有意に多く、その他の危険因子とのロジスティック回帰解析の結果も合わせて、この遺伝子多型の脳血管障害の疾患感受性は高血圧の影響も考えられた。 【結論】connexin37の遺伝子多型C1019TはT alleleにて虚血性脳血管障害の危険因子となることが示唆された。しかし、高血圧を介した機序も考えられ、今後のさらなる検討が必要と考えられた。
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