梗塞後不全心におけるβ受容体とアンジオテンシン受容体シグナリング間のクロストーク
Project/Area Number |
12770358
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Circulatory organs internal medicine
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
安斎 俊久 (安斉 俊久) 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (60232089)
|
Project Period (FY) |
2000 – 2001
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
|
Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
|
Keywords | 心不全 / 心筋梗塞 / β受容体 / アンジオテンシン受容体 / シグナリング / プロテインキナーゼC / 心室リモデリング / ベータ受容体 / G蛋白 |
Research Abstract |
心筋梗塞後慢性期に認められる非梗塞部心筋の不全化の機序をβ受容体シグナリングおよびアンジオテンシンシグナリングの観点から明らかにし、梗塞後左室リモデリングの病態を解明することを目的とした。ラット左前下行枝結紮6週間後、左室径の増大と収縮率の低下とともに非梗塞部の壁厚増加率の低下を認めた。アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)カンデサルタンを梗塞後4週より2週間のみ投与した群では、安静時左室機能に変化はないながらも、イソプロテレノール負荷時の左室dP/dtおよびVcfの変化率が回復することを明らかにした。また非梗塞部心筋における高親和性β受容体の比率およびイソプロテレノール刺激下のアデニリルシクラーゼ活性もARB投与群においてvivo実験と同様に回復していることが明らかになった。ARBの短期投与は、安静時左室機能および血行動態に対して影響を及ぼしておらず、これらのβ受容体シグナリングの変化は、心機能改善に伴う二次的変化というよりも、アンジオテンシンシグナリング抑制に伴う変化と考えられた。また、非梗塞部心筋ではシャム群に比較し、G蛋白共役受容体燐酸化酵素(GRK2)の細胞膜分画における発現が亢進していること、またプロテインキナーゼC(PKC)の活性が上昇していることが明らかになった。PKCのアイソフォームの中では、Ca非依存性PKCの1アイソフォームであるPKC_εの発現が特異的に亢進しており、ARBの投与は、このアイソフォームの発現亢進を抑制し、β受容体シグナリングを改善することが示された。新生仔ラット心筋細胞にPKC_εのdominant negative mutant遺伝子を導入したところ、GRK2の発現が亢進し、イソプロテレノール負荷時のcAMP産生が低下する事を明らかにした。 結語:PKC_εはアンジオテンシン受容体とβ受容体シグナリングのクロストークに関連し、不全心筋におけるGRKの発現上昇とβ受容体シグナリングの障害に重要な役割を果たしている可能性が示唆された。この結果により、PKC_εの抑制が心不全におけるβ受容体感受性を良好にし、運動耐容能の改善をもたらす可能性、また、将来的には心不全の新たなターゲットとなる可能性も示唆された。
|
Report
(2 results)
Research Products
(8 results)