Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
H12年度の実験により,皮膚GVHDの発症はDETCの有無に依存することが確かめられた。本研究におけるマウスGVHDモデルの標的抗原はMHC classIIであることを考慮すると,DETCの存在と表皮MHC class IIの発現になんらかの相関があると考えられる。そこで本年度は以下の実験を行った。 1,GVHD皮膚病変における表皮class IIの発現の確認。 2,GVHDモデルマウスにおけるIFN-γの産生の解析。 3,IFN-γ存在下での各種マウス皮膚器官培養後の表皮class II発現の解析。 4,IFN-γ存在下でのDETC line培養後のサイトカインの発現の解析。 結果はそれぞれ以下の通りである。 1,皮膚GVHDが惹起されるモデルでは皮膚病変形成前から表皮にclass IIが強く発現されていた。 2,GVHDマウスモデルでは皮膚病変の有無に関わらずIFN-γの産生元進がみられた。 3,IFN-γの添加下に48時間の皮膚器官培養を行った。DETCを有するC57BL/6マウス(B6)の皮膚では表皮class IIの発現がないのに対し,DETCを欠いたB6ヌードマウス(B6nu)やB6 scidマウスでは表皮class IIが強く発現された。 4,ifn-γの添加下にDETC lineの培養を行った後,各種サイトカインの産生をRT-PCRにより解析した。抑制性サイトカインであるIL-10のmRNAの増強が認められた。しかし,同様な抑制性サイトカインであるTGF-βについては,むしろ減弱していた。 以上より,DETCが存在する皮膚では,表皮のclass II発現が抑制され,表皮がdonor T細胞の標的となりえないため皮膚GVHD発症しない可能性が考えられる。表皮class II発現の抑制機序の一部は,DETCからのIL-10の産生によると考えられる。しかし,TGF-βについては,DETCは,むしろ病変を増強させる可能性を示唆しており,この矛盾についてはいまだ解明できていない。またこれら2種類のサイトカイン以外にも,皮膚GVHDの抑制に関する因子が産生されている可能性が考えられる。
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