Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2001: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
人工皮膚の培養は今日ではポピュラーとなり,熱傷などの植皮片として利用されている。ところがこれらの人工皮膚には毛や汗腺など皮膚付属器がない。今回我々は皮膚三次元培養型を用いて,エクリン汗腺再生を試みた。方法としては線維芽細胞を巻き込んで培養し収縮させた1型コラーゲンゲル上に表皮細胞を播き空気に触れさせて培養することで重層化させた。この際,培地内に血清とEGF(epidermal growth factor)を15ng/ml以上加えると,表皮細胞が若いドナー由来の場合に限り表皮がコラーゲンゲル内に浸潤し一部で管腔構造を形成した。これらは表皮細胞の部位,線維芽細胞の年齢,部位に影響されなかった。EGFを加えると重層化上皮と管腔構造の内方でCEA(carcinoem bryonic antigen)が陽性に染まったが,ケラチン染色では再生上皮のパターンを示しエクリン汗腺と全く一致したわけではなかった。PCNA(proliferating cell nuclear antigen)染色ではEGFの有無で重層化上皮の染色パターンに差はなく,また深く浸潤した表皮細胞ではPCNAが陰性なことより,EGFは単に表皮細胞の増殖を亢進しているのではなくエクリン汗腺への分化に関与していることが示唆された。この表皮細胞の代わりにエクリン汗管のみからなる上皮細胞を用いた場合では,このような浸潤はみられなかった。逆に扁平上皮癌のcell lineを用いた場合,EGFの有無にかかわらずびまん性の浸潤がみられたが管腔構造はみられなかった。以上より,若いヒトの表皮にはエクリン汗腺への分化能を持った細胞(stem cell?)が残存する可能性があり,これらの細胞の分化に伴う浸潤様式は癌細胞のそれとは異なると考えられた。
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