Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
少なくとも6ヶ月以上,標準的治療に抵抗性の難治性皮膚疾患,計217例の抗H. pylori-IgG抗体を調べた。抗体陽性者を内科に紹介し,H. pylori陽性患者に,除菌治療を施行した.抗体陽性患者は,115名(53%)を占めた。内訳は,慢性蕁麻疹56%,皮膚そう痒症69%,貨幣状皮膚炎73%,多形慢性痒疹76%であった。本邦の無症候者の年代別抗体陽性率と比較すると,有意に高くはなかった。除菌成功後の有効率は,慢性蕁麻疹60%,皮膚そう痒症58%,貨幣状皮膚炎55%,多形慢性痒疹50%であった。慢性そう痒性皮膚疾患の中には,H. pylori持続感染が皮疹の病因あるいは難治化の原因の一つとなっている可能性を推定した。自然消退や抗菌藥 の他の作用機序も否定できないが,少なくとも,除菌療法は,その効果から考えて,選択してもよい治療方法の一つと考えた。次に,H. pylori感染のI型アレルギーの関与を知るために,ELISA法で,慢性蕁麻疹およびアトピー性皮膚炎患者血清中の抗H. pylori-IgE抗体を測定した。抗H. pylori-IgE抗体陽性率は,慢性蕁麻疹で7.7%,アトピー性皮膚炎で18%であった。さらに,アトピー性皮膚炎において,抗H. pylori-IgE抗体価は,total IgE値と正の相関を示した.また,抗H. pylori-IgE抗体陽性群は,陰性群にくらべ,カンジダ,ピチロスポルム;トリコフィトンのRAST値が有意に,高かった。重症患者は,軽症患者にくらべ,抗H. pylori-IgE抗体価が有意に高かった。重症者の一部では,H. pylori感染との関連性を認め,悪化因子となっている可能性が示唆された。しかし,多クローン性にIgE抗体が産生された可能性も否定できない。また,RAST開発のため,抗H. pylori-IgE抗体陽性血清を用い,H. pylori固相作成を検討中である。
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