Research Abstract |
ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)5型の遺伝子配列の差違は,HPV16型に比べてかなり多く,HPVの中でも多種多様性に富んだ型であるといわれている.さらに,HPV5型は転写をコードするE6の塩基配列の相同性によって3つの亜型に分類されており,人種別にみるとヨーロッパ人は5aと5c型が,アフリカ人は5b型が多いが,日本人においてはその塩基配列が同定されている報告が少ない.疣贅状表皮発育異常症の患者さんの皮疹から検出されたHPV5型のL1領域の塩基配列を同定して,日本国内におけるHPV5型のvariationを調べ,日本人は5型のなかでもどの亜型が多いのか,外国と比較した時の日本の位置づけを研究することを目的として実験を始めた.平成12年度に疣贅状表皮発育異常症患者の皮疹部の組織や生検時のパラフィン切片からDNAを抽出し,当教室でHPV5型のL1領域の一部の遺伝子配列をもとに作成したプライマーを用いてPCRを施行したところ,3例に陽性が認められた.平成13年度は,このPCRで陽性が認められた症例についてpGEMvectorキットを用いてサブクローニングを行ったのち,キットのPCR断片の外側のプライマーを用いてサイクルシークエンスを行い,型の同定および5型内での塩基配列の比較,解析を行った.3症例をプロトタイプであるHPV5a型と比較した.1症例目は6175,6265,6502の3ケ所でC→Gに,2症例目は6175,6265,6502の3ケ所でC→Gに,6186でT→Cに,3症例目は6265,6502の2ケ所でC→Gに,6446でA→Gに塩基配列が置換されていた.3症例とも変異は少なくHPV5a型のバリアントであった.
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