汎発性強皮症患者におけるTGFβおよびTGFβレセプター発現に関する研究
Project/Area Number |
12770466
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Dermatology
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
川上 民裕 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (20297659)
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Project Period (FY) |
2000 – 2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2001: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | TGFβ1、2、3 / TGFβレセプターI型、II型 / 免疫組織化学染色 / 汎発性強皮症 / CREST症候群 / 皮膚癌 / 膠原線維 / in situ hybridization法 / Reactive perforating collagenosis |
Research Abstract |
我々は、汎発性強皮症患者皮膚線維芽細胞におけるTGFβレセプターI型、II型の発現量は2倍増加、I型コラーゲンは3倍上昇するのを明らかにし、TGFβレセプターがそのオートクライン制御を活性化させ、これを介してTGFβの働きが増強し、コラーゲン産生を刺激すると推測した。これをうけて、汎発性強皮症患者におけるin vivo系でのTGFβ及びTGFβレセプターの発現を検索した。様々な病期の強皮症患者より、前腕伸側の皮膚生検を採取した。加えて、皮膚内の石灰沈着が顕著な汎発性強皮症(CREST症候群)の患者皮膚や、真皮における異常膠原線維が表皮へ穿孔する病理組織像が特色であるReactive perforating collagenosisの皮疹部生検も併せて施行した。各標本はOCT包埋固定後、脱パラフィン、内因性ペルオキシダーゼ除去し、一次抗体としてTGFβ1、2、3及びTGFβレセプターI型、II型、二次抗体にビオチン標識抗ウサギIgGを使用したABC法で発色させる免疫組織化学染色を行い、その組織内発現を観察した。汎発性強皮症患者では発症3年以内の標本で、TGFβ1、3及びTGFβレセプターI型、II型が真皮線維芽細胞や増生する膠原線維に過剰発現した。これは強皮症の病因の一つであるコラーゲンの過剰産生、沈着が、TGFβシグナル伝達経路と深く関与する我々の報告と一致する所見である。また、CREST症候群では石灰沈着塊周囲に特にTGFβ3が増強を示した。これより、汎発性強皮症でときにみられる石灰沈着の機序に、TGFβ3が関連する可能性が示された。一方、Reactive perforating collagenosisでは真皮上層の特に穿孔する膠原線維束周囲で、TGFβ1、3が過剰発現した。この所見は、本症の病態にTGFβが関与することを示唆させる。他に、Bowen病、Paget病などの表皮内癌や汗孔角化症などの前癌状態の病変部標本でも免疫組織化学染色を試みたところ、癌細胞内にTGFβ1、3が増強する所見を認め、それぞれの発癌メカニズムと何らかの関連があることを伺わせた。次いで、in situ hybridization法にてTGFβ1、2、3及びTGFβレセプターI型、II型の染色性を施行し、皮膚癌発生機序にこれらのサイトカインが介入することを示した。
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Report
(2 results)
Research Products
(16 results)