Research Project
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
臨床で用いられているCT撮影条件下での3D-CTによる計測値と実測値との相違を確認するためのファントム実験を行った。種々の径のアクリル製円筒容器を用い血管モデルを作製し、実際に臨床で使用している撮影条件によりヘリカルCTを撮影し、これらの3D-CT画像を作製画像上で径を計測した。この画像の計測値と実測値とを比較し良好な相関があることを確認した。また、腹部大動脈瘤患者に対して、同様の条件にてヘリカルCTを撮影し3DーCTを作製した。ヘリカルCTデータをワークステーション上で補間し0.2mm厚の横断像を再構成し、このデータを元に紫外線レーザーで光硬化樹脂の液面に描画し硬化させ、順次積み重ねていくことにより、大動脈瘤レプリカを作製した。5例の大動脈瘤症例の3D-CTと、その大動脈レプリカの計測値の相関を検討し、これについても良好な相関を得た。このレプリカを用い複雑な形状をした大動脈瘤に対するステントグラフトの設計や留置のシミュレーションを行った。複雑な形状をした瘤であっても、レプリカにて事前にシミュレーションを行い、ステントの形状を設計することにより、瘤形に沿った挿入が可能であり、有用であることを確認した。臨床例においても、初期に使用していた、straight typeに比して、動脈瘤形にあわせた、curved typeは、endoleak等の合併症が少なく、臨床面からも瘤形にあわせたステントグラフトの設計が有効であると思われた。また、留置に際しては、留置手技中低圧を維持し、脈圧を低下させることが重要であり、このことが留置精度の向上および位置移動の減少に寄与することが確認された。