Research Project
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
【対象・方法】Wister系雌ラット(7週令)の左大腿内側(約2.5cm^2)を剃毛し、照射直前にCamostat mesilate(以下FOY)軟膏を塗布した。同部位に6MeV電子線を25Gy、35Gy一回照射し以後40日まで放射線皮膚炎の程度を評価した。軟膏は濃度別にcontrol、1mg/1g(FOY/マグコロール)、5mg/1g、10mg/1g、50mg/1gに分類し、各群6匹とした。放射線皮膚炎評価方法はRTOGの放射線治療による急性反応判定基準(WHO)に基づき、検討項目は発赤(紅斑)、落屑(乾性、湿性)、脱毛で、照射後1〜2日毎に視覚的に評価し、軽度の発赤や乾性落屑を1点、明瞭な発赤(紅斑)を2点、湿性落屑を3点として定量化した。脱毛については照射後15日目に脱毛の有無を観察し、完全脱毛を2点、不完全脱毛を1点として評価した。【結果】1、25Gy一回照射群はcontrol群及び軟膏塗布群いずれも照射皮膚に変化がみられなかった。2、35Gy一回照射後の変化はどの群も照射後3、4日目頃より軽度の発赤、乾性落屑が出現し始め、徐々に変化が増強し、15日頃をピークとして以後軽減した。皮膚障害の程度はcontrol群が最も顕著(2.33±0.52)で、軟膏塗布群ではピーク時の反応は軽減されたが、各濃度別に有意差はみられなかった(1mg/1g:1.50±0.84、5mg/1g:1.50±0.84、10mg/1g:1.33±0.52、50mg/1g:1.50±0.84)。3、脱毛はコントロール群で程度が強く、FOY濃度に依存する傾向がみられたが有意差はみられず、可逆的変化であった。【結語】1、FOYにより放射線皮膚炎が軽減し得る可能性が示唆された。2、全体評価としてやや線量不足の結果となり、今後線量を増加して紫雲膏とあわせて検討する必要がある。