Research Abstract |
昨年度にひき続き冠動脈バイパス術(CABG)後の発作性心房細動(PAf)症例における自律神経変化について検討した.CABG当日から第6病日まで24時間毎の良好な連続ホルター心電図記録得られた症例で,得られた心電図記録からPAfを検出し,PAf症例群(P群)と非PAf群(N)群に分類し.次いで7日間の全心拍のR-R間隔を求め,5分毎のR-R間隔を最大エントロピー法(MEM)による成分解析を行い,37例の解析が終了した.成分解析により高周波成分(HF)と低周波成分(LF)を算出し,HFを副交感神経系,LF/HFを交感神経系活動の指標とし,一日毎の両群間の変化を比較した.さらにP群において,PAf発作90分前からの変化を解析した.【結果】術後7日間のPAf発症は11例(29%)16回であり,術後24〜72時間に9回(56%)第5,6病日に5回(31%)であった.24時間毎のHFは,N群39.9〜77.0ms^2,P群18.2〜35.4ms^2,LF/HFは,N群1.85〜2.29,P群1.38〜4.01の変動が見られたが,2群間に有意差を認めなかった.PAf発症前の自律神経変化は,HFで発作90,60,5分前にそれぞれ342.9±188.9,486.7±283.6,663.1±390.4ms^2(p<0.05)で90分前と比べ60,5分前で,また60分前と比べ5分前で統計上有意な上昇を認めた.LF/HFは発作90,60,5分前で2.58±2.30,2.43±2.33,2.26±2.39と統計上有意な変化は認めなかった.【総括】CABG後の自律神経活動の変化は,非PAf発症時には変化は認めないものの,発症90分程前より副交感神経活動の変化が認められ、これに発症直前の交感,副交感神経活動の亢進が生じ,PAf発症に関与するものと示唆された.また,この結果よりPAf頻発の2〜4病日にpilsicainide投与を行い予防効果の検討を行なっている.
|