Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2001: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
神経損傷におけるアポトーシスの関与及び低体温療法による保護効果を検討するために,まず我々の施設では種々の脳損傷を小動物でモデル化することからはじめ,それを利用しながら病態解明に努めてきた.例えばTaKiら(Nagoya Med. J 2000)は、ラット局所脳虚血モデルを作成し,アポトーシス関連遺伝子の発現を検討した.それによると虚血周辺部(penumbra)でのapopototic cellsの出現及びアポトーシス抑制遺伝子であるbax,細胞周期に関連したp21遺伝子の発現亢進を示した.Nakatsukaら(Nagoya Med J 2000)はラットでくも膜下出血後の海馬神経損傷におけるアポトーシスの役割を研究し,海馬CA1領域における関連遺伝子の発現経過を明らかにした.Kananoら(Neuro Report 2000)はラットの凍結脳損傷モデルでガン抑制遺伝子であるp53やp21遺伝子発現様式から,脳損傷拡大にアポトーシスと細胞周期が深く関わることを示した。これらの所見から我々は,神経損傷においては初期損傷に続く2次障害にアポトーシスが深く関わっている事は確実であり,細胞周期等を調節することでそれを抑制することが後遺症の軽減につながると考えられた.アポトーシス抑制のために種々の薬剤が推奨されてはいるが,副作用等の面で臨床応用に耐えない.低体温療法は重症頭部外傷の治療として用いられているが,基礎データの裏付けに乏しい,Kawamuraら(J Neurotrauma 2000)はくも膜下出血モデルを用い,低体温治療後にhsp 70,c-jun遺伝子の発現が抑制され,虚血ストレスが緩和される事を示した.またアポトーシス細胞の出現が抑制されるという基礎データも有している.Shibayamaら(J Comp Neurol 1998)のデータによれば、脊髄損傷後の逆行性変性にもアポトーシスの関与が示唆された.我々は現在脳や脊髄損傷後の浮腫に注自している.すでに我々の基礎データでは損傷周囲での浸透圧調節遺伝子(SMITやAquaporin)の発現亢進を明らかにし,これによる2次性損傷がアポトーシスを誘導するものと推測している.脳外傷では低体温が脳浮腫抑制に有効であることから,脊損においても治療効果が期待される低体温あるいは局所脊髄冷却モデルを作成し脊髄損傷の基礎研究を続行している.
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