ヒアルロン酸-ケイヒ酸フィルムを用いた腱癒着防止に関する研究
Project/Area Number |
12770802
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Orthopaedic surgery
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
根本 高幸 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (20287270)
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Project Period (FY) |
2000 – 2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2001: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Keywords | ヒアルロン酸ケイヒ酸フィルム / 癒着防止 / 屈筋腱 |
Research Abstract |
屈筋腱損傷後に発生する癒着とそれに伴う手指の拘縮を予防することは、治療成績を向上させるうえで重要な課題である。しかし、腱の縫合法の改善には限界があり、癒着防止物質を使用する場合でも、著しい生体反応を惹き起したり、生体吸収性あるにせよ腱の修復に悪影響を及ぼすといった問題が残されている。 最近、腱の滑液成分であるヒアルロン酸の癒着防止効果が注目されるようになってきているが、溶液状を呈しているために早期に腱周囲から消失してしまい、臨床面での実用化には至っていない。そこで、我々は、ヒアルロン酸の水酸基の一部をケイヒ酸に置換し、紫外線を照射することにより架橋結合を組み込んだ光架橋ヒアルロン酸フィルムを作製し、その癒着防止効果や腱の修復能、ならびに組織滞留時間などについて検討し、臨床応用の可能について追求した。 腱の癒着モデルは、白色家兎の右側大3・4後趾の基節部屈側で腱鞘を切開し、浅趾屈筋腱、滑走床ならびに骨膜を切除、深指屈筋腱の3/4を横切した後に腱を縫合し3週間のギプス固定を行って作製した。この際、腱を縫合後に同部をヒアルロン酸膜で包み込むようにしたものを実験群とする。ヒアルロン酸膜は、ケイヒ酸の置換率0.53%、厚さ40μmのものを作製し、6×6mm程度の大きさにしたものを使用した。3週間後に、腱の癒着の程度を肉眼的ならびに組織学的に検索し、さらに現有施設を使用して関節可動域の測定と引抜き実験を行った。 腱の血行障害を防ぐ目的でHA膜を腱と滑走床との間に挟むように挿入したが、その結果、膜使用群では腱と周囲組織の癒着形成は、肉眼的ならびに組織学的に観察してコントロール群より明らかに少ないことが判明した。さらに、腱縫合部に負荷をかけての関節可動域の測定や引抜き試験の結果からも、膜使用群の方がコントロール群よりも腱の滑動性は良好であり、癒着の形成が少ないことが示唆された。 本研究結果より、HA膜は、今後、腱癒着防止膜として臨床応用可能と期待される。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)