サイトカインバランスよりみた脳低温療法によるニューロン保護作用機構の解明
Project/Area Number |
12770822
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Anesthesiology/Resuscitation studies
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
松井 智浩 山口大学, 医学部, 助手 (50314828)
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Project Period (FY) |
2000 – 2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2001: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Keywords | 脳低温療法 / 炎症性サイトカイン / 抗炎症サイトカイン / ケモカイン / 生体防御反応 / サイトカインバランス / 末梢血単核球 / マイクログリア / 炎症 / 抗炎症 / IL-6 / IL-10 / 末梢血単球 |
Research Abstract |
脳低温療法により重傷頭部外傷等の脳障害に対し脳保護効果が期待されているが、本療法は生体を低温状態に曝すため、生体防御・免疫機構の低下から易感染性が危惧されている。昨年度の研究において、末梢血単核球(PBMC)の軽度低温培養(MH)(33℃、24時間)は、炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-6)の産生には影響を与えず、抗炎症性サイトカイン(IL-10)のみを抑制し、サイトカインバランス(炎症性/抗炎症性比)は炎症性反応優位な状態であり、免疫機能の抑制状態とはならないことを明らかにした。よってサイトカイン動態より見ると、軽度低温中の生体防御反応は侵襲を受けた生体における二次的な感染に対して作用しうることが示唆された。 今年度はPBMCのMHについて1)早期の反応を調べより確証を得るため遺伝子発現の変化としてサイトカインmRNAを2)他の炎症性サイトカイン、特に好中球機能の活性化に作用するケモカインの変化をみるためIL-8の産生量をそれぞれ検討した。その結果、33℃、6時間のMHによりTNF-αとIL-6mRNA発現に37℃との差はみられなかったが、IL-10発現は約40%の低値を示した。また、IL-8産生量(24時間)も両培養下で変化はなかった。 以上より1)MH下でのサイトカイン不均衡(IL-10のみの抑制)は既にmRNAへの転写レベルから生じていることがわかった。2)IL-8の変化から好中球機能低下もないことが示唆され、軽度低温中は免疫機能の抑制状態とはならないことが更に支持された。 また、脳内のサイトカイン産生を主に担うマイクログリアをラットより分離し、24時間MHしたところPBMCと同様にTNF-αとIL-6の産生量は変化せずにIL-10のみ約2/3の低値となった。よって、本療法による脳保護作用の一機序として低温下によるIL-10産生の抑制が関与している可能性が考えられた。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)