Project/Area Number |
12770906
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Obstetrics and gynecology
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Research Institution | 福井医科大学 |
Principal Investigator |
佐々木 博正 福井医大, 医学部, 助手 (20225890)
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Project Period (FY) |
2000 – 2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 卵巣癌 / アポトーシス / 細胞外基質 / 細胞骨格 / caspase |
Research Abstract |
【研究の目的】卵巣癌には今日まで様々な抗癌化学療法が試みられ、ある程度の予後が改善されたが、依然として予後不良の婦人科悪性腫瘍である。予後不良の原因には複数の因子が複雑に絡み合っていると思われるが、卵巣癌の腹膜転移・播種・浸潤機構が未だ解明されていないことも一つの原因と考えられる。我々は、本年度は「Caspase(特にCaspase-3)は、Apoptosisの遂行のみならず、細胞骨格のリモデリングにも関与し、卵巣癌細胞接着・浸潤機構の一部を担うのではないか」と仮説を提示・検証した。 【結果】卵巣癌細胞株OVCAR3を、通常表面またはMatrigelコートした培養皿に蒔き込み、プレート後12・24・48・72時間後にそれぞれ培養液中に細胞透過性蛍光caspase-3基質(PhiPhiLux標識GDEVDGI)を加え、さらに30分間培養後、蛍光顕微鏡下に観察した。Caspase基質の分解に伴う蛍光は、細胞の培養基質への接着に伴い、細胞質内及び核周囲に斑状に認められた。また、Matrigelコート上のOVCAR3細胞は、プレート後48時間以降、細胞がMatrigel内に埋没して行く過程で、蛍光の増強が認められた。In vitroのcaspase-3活性測定を用いても、アポトーシス細胞と非アポトーシス細胞の両者に活性が認められたが、酵素学的な解析では非アポトーシス細胞内にはcaspase-3活性の阻害物質の存在が示唆された。また、卵巣癌細胞OV2008にCDDPを用いてアポトーシスを誘導すると、caspase-3の活性化に伴い、インテグリンを介した細胞内情報伝達に重要なFocal Adhesion Kinase(FAK)を切断していることが確認された。 【考察】Caspase活性は、非アポトーシス細胞にも局在しており、アポトーシス過程における活性とは異なる機構で調節されている可能性が示唆された。また、caspase-3はインテグリンに共役し、細胞内骨格や他のシグナル伝達蛋白等をリンクするFAKも分解することから、caspase-3は、情報伝達・細胞形態の両面から細胞機能を調節している可能性があると思われた。今後、caspase活性阻害剤などを用いて、さらなる検討が必要である。
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