Research Project
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
平成12年度の研究実績で、成熟ウサギと幼若ウサギの嚥下誘発部位を特定し、触刺激による誘発刺激強度の違いについて明らかとした。そこで平成13年度は嚥下誘発部位、誘発刺激強度の経日的変化を調べることを目的として実験を行った。1.成熟ウサギの嚥下誘発域からは幼若ウサギも嚥下が誘発されたが、幼若ウサギは成熟ウサギと異なり、軟口蓋部からも高頻度で嚥下が誘発されることが特徴的であった。そこで今回、日齢をおって経日的にその変化をみていくと、生後7〜10日目頃にかけて嚥下誘発域に変化が生じ、成熟ウサギと同様な嚥下誘発域を示すようになった。2.嚥下誘発刺激の閾値を経日的に調べるために、上喉頭神経を電気刺激して嚥下を誘発させ、その刺激閾値の経日的変化を調べた。刺激条件はDuration 1msec、Interva1 50msecとし、50μA(または30μA)の強さで1回の嚥下が生じる刺激閾値の回数を調べた。その結果、生後2日齢が約13(15)回、7日齢が約23(26)回、10日齢が約22(25)回で嚥下が誘発され、生後約7日で成熟ウサギとほぼ同様な刺激条件で嚥下が誘発された。以上より、幼若期のウサギでは嚥下誘発域が成熟ウサギとは異なり、また誘発刺激強度も異なることが明らかとなった。また、その成長発育変化は生後7日から10日にかけて生じた。ウサギの吸啜から咀嚼への移行期は生後10日目以降であることより、離乳期以前にすでに成長発育変化が生じ、成熟ウサギと同様な嚥下誘発の神経機構をもっているものと考えられた。