Research Project
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
様々な機械的負荷に対する顎関節円板の生体力学的反応を明らかにすることを目的として、牛、豚など各種動物の顎関節円板を用いた粘弾性特性試験を行った。持続負荷を加えた場合、クリープ特性により歪み量は増加するものの、約1分後に変化しなくなる。また、一定の歪みを加えた場合には応力緩和によって負荷直後から応力値の減少が認められるものの、約30秒後には一定の応力を示すようになる。このような時間依存性の現象は粘弾性特性を示すものであることから、顎関節円板が粘弾性特性を有することが示された。さらに、顎関節円板は噛みしめ時に生じるような持続的な負荷に対して歪みエネルギーを消費し、かつ応力を円板全体に分散させることによって応力緩衝機能を発揮しうること明らかとなった。また、このような粘弾性特性を数学的モデル(Kelvin's model and Burger's model)によって近似することにも成功した。この結果は今後の顎関節三次元有限要素モデルを用いた応力解析において用いられるとともに、人工顎関節円板の開発において最も重要である生体材料の決定に対して有効な指標となる。さらに、現在、持続的負荷ばかりでなく、咀嚼運動などにおいて認められる間歇的負荷に対する顎関節円板の動的粘弾性特性についての検討を開始している。その結果、顎関節円板のこのような特性は負荷の頻度、方向などによって大きく変化することが明らかとなった。顎関節円板穿孔の発現機序については、豚顎関節円板に人工的に穿孔を作製し、負荷を加えた場合の穿孔部の変化を数値的に捉えるとともに、穿孔を有する顎関節円板の三次元有限要素モデルを作製し、両者の比較検討を開始している。また、ラット顎関節に過剰な衝撃力を加え、その後に生じる病理組織変化を観察することにより、一過性の外傷と円板穿孔との関連についても検討を開始している。
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