Research Project
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
歯周病細菌であるActinobacillus actinomycetemcomitans、Porphyromonas gingivalis、Treponema denticolaについて既に報告されている遺伝子の特異的な塩基配列を基に、PCR法で特異的遺伝子断片を増幅するための特異プライマーを、また16SリボゾームRNAの塩基配列を基に、口腔内細菌叢を構成する全ての細菌を検出できるユニバーサルプライマを作製した。これらのプライマーを用いて同一条件のもとで最短の反応時間でPCR産物を検出できる至適条件を検討し、各種細菌が同時に検出可能となった。各PCR産物よりの1本鎖DNAをターゲットとする、TaqManプローブを作製した。各歯周病細菌で様々な濃度の染色体DNAを調製し、これらをテンプレートDNAとして各歯周病細菌の特異プライマまたはユニバーサルプライマー、そして各々のTaqManプローブによる、ABIPRISMTM 7700 Systemを用いたリアルタイム検出の定量的PCR法にてPCR産物の定量解析を行い、各特異プライマーについてはその特異性を、ユニバーサルプライマーについてはその非特異性を確認した。さらに、様々な濃度の菌懸濁液を調製し、前述の方法を用いて定量解析を行い、細菌検査の定量における基準を設定しようとしている。現在まで、予防歯科外来で様々な病型の歯周炎患者から承諾を得て、85名の唾液と121名630歯より歯垢をサンプリングし、この定量解析により菌数を推定し、検査結果と病態の変化を経時的調査しているが、本診断法の診断基準や臨床応用法を確立するには、臨床に適したサンプリングの方法や、PCR法での定量にポジティブコントロールとしてスタンダードDNAを用いるべきかを検討し、歯周病細菌とその特異プライマーの種類などについての再設定、さらには歯周病の細菌以外の発病因子への考慮などが必要である。