Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2001: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
本研究プロジェクトは,「ダウン症候群患者の早期老化による歯周病易感染性と活性酸素フリーラジカルとの関連性を検討すること」を目的として進められ,まず申請者はmatrix metalloproteinase (MMPs)と歯周病との関連に着目した。健常者に比べダウン症候群患者歯肉組織および歯肉由来線維芽細胞のMMP-2活性が高いことを報告した(Komatsu et al.,Oral Diseases,7:47-55.2001.)。さらにそのメカニズム解明のために標記プロジェクト課題に連関する活性酸素フリーラジカルの検出技術として電子スピン共鳴(electron spin resonance ; ESR)を駆使し,炎症性サイトカインであるIL-1β刺激によりダウン症候群線維芽細胞から産生される活性酸素フリーラジカルがIL-1βの濃度依存的に増大し,その産生量は健常者の線維芽細胞より高いことを見出した。これは先の申請者の報告に相関するものであり,「活性酸素フリーラジカルとMMP-2活性との関連性」を示唆するもので歯周病の発症メカニズムを理解するうえで興味深い知見と考えられる。さらに申請者は炎症性刺激の無い,無刺激のダウン症候群線維芽細胞から産生される活性酸素フリーラジカルが健常者の線維芽細胞より高いことを見出した。ダウン症候群患者はCu, Zn superoxide dismutase過剰産生により活性酸素フリーラジカルがその発症に付随しているといわれるが,直接的な証拠はないことから本研究において活性酸素フリーラジカルを直接検出,同定をしたことは国内外で画期的なものである。また,この結果は単に歯周病発症のメカニズムに活性酸素フリーラジカルが関与するというだけではなく,ダウン症候群の早期加齢のメカニズムの解明を導く可能性からも注目に値する。すなわち,これまで報告された神経変性疾患との活性酸素フリーラジカル相関を含めて中枢神経機能に対する活性酸素フリーラジカルの病態生理学的役割の解明につながるものと考えられる。これら成果については各学会(2^<nd> International Conferenceon Oxidative Stress and Aging, Modern Periodontology,第18回障害者歯科学会)で報告済みであり,現在論文として投稿準備中である。
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