歯周炎患者血清中のLPSならびにLPSが誘導する物質の定量と免疫学的解析
Project/Area Number |
12771333
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Periodontal dentistry
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
金子 高士 長崎大学, 歯学部, 助手 (10284697)
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Project Period (FY) |
2000 – 2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 歯周炎 / LPS / 歯周病原性細菌 |
Research Abstract |
近年歯周病と全身疾患、との関連性が指摘され、歯周病原性細菌のLPSの体内への進入がその一因と推測されている。そこ歯周炎羅患患者の末梢血清中のLPSの存在と歯周病原細菌のLPSの生物学的活性に関して一連の研究を行った。健常人では血清LPS量をリムルス活性を指標にして測定したところ、5.1±5.7pg/mlであったのに対して、早期発症型歯周炎14.8±14.6pg/ml、成人性歯周炎2.5±2.4pg/mlであった。血清LPS量はEOP患者で血清LPS濃度が高かったものの、個人差によるばらつきが大きく、APと比較してのみ有意差が認められ、健常人との間には有意な差は認められなかった。またP. gingivalis, A. actinomycetemcomitans, F. nucleatum, C. ochracea LPSのリムルス活性はそれぞれ2.1,30.5,8.6,23.1EU/ngと菌種によって大きく異なっていた。一方歯周病原細菌のLPSのユニークな特徴も明らかになった。P. gingivalisとA. actinomycetemcomitansのLPSをマウス歯肉に連続投与すると、歯肉の炎症と引き続く歯槽骨吸収が起こるが、その程度はP. gingivalisよりA. actinomycetemycetemcomitansが強いことが明らかになった。また歯槽骨吸収の経時的変化は歯肉IL-1α/β量の変動と関連していた。一方、腸内細菌などの通常のグラム陰性細菌のLPSはtoll-like receptor (TLR)4を刺激し、細胞を活性化することが知られている。しかしP. gingivalisやC. ochracea LPSはTLR2を刺激するとともに、TLR4のantagonistとして作用し、他のLPSによる刺激を抑制することを明らかにした。 今回、EOP患者で血清LPS濃度が上昇した。歯周病原細菌の菌種によってリムルス活性が異なっていたことから、LPS濃度はEOPに関連した細菌の違いによる可能性が示唆された。過去に報告されたP. gingivalis LPSの生物学的活性の弱さは結合する受容体の種類と関連しているかもしれない。さらにP. gingivalis LPSは他のLPSの生物学的活性をブロックした。このことは歯周病の局所のみならず全身に引き起こす免疫応答の複雑さも示唆している。歯周病患者血清のLPSの量のみならず、血清の生物学的活性も検討する必要があると思われる。
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Report
(2 results)
Research Products
(10 results)