Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2001: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Research Abstract |
歯周炎の病因は主に細菌の感染であり,感受性のある宿主において歯周炎に関係する細菌により発症し進行する。Porphyromonas gingivalis歯周病原性細菌であり,産生されるタンパク分解酵素(プロテアーゼ)は,歯周病の進展に重要な因子であることが明らかにされている。本研究では,P. gingivalisの病原因子が宿主の免疫応答に対しどのような影響を及ぼすかについて明らかにするために,T細胞と接触した歯肉線維芽細胞(HGF)の応答性におけるP. gingivalis由来gingipain-Rの影響について検討した。 その結果,gingipain-RはHGFに対し,Interleukin-8(IL-8)mRNA発現を誘導するが,培養上清中のIL-8量は増加しないことを明らかにした。しかし,gingipain-Rで刺激されたHGFはその後のT細胞刺激によって,gingipain-Rで刺激されないHGFに比較して,IL-8mRNA発現およびIL-8を多く産生した。これらは,先のgingipain-R刺激により細胞内に蓄積されていたIL-8が産生されたことに加え,T細胞刺激により新たにIL-8が産生されたことによる結果と考えられる。一方,その他のケモカインについて検討した結果gingipain-Rは,T細胞刺激によるHGFのmonocyte chemotactic protein-1(MCP-1)産生には影響を及ぼさず,interferon-gamma-inducibleprotein-10(IP-10)産生には抑制させるように作用することを明らかにした。 これらの結果は,gingipain-Rが,歯周炎局所への炎症性細胞の浸潤において多様な役割を持ち、歯周炎の病態に深くかかわっていることが示唆した。これまでタンパク分解酵素としての病原性が強調されてきたgingipain-Rは,歯周炎の進展においてそれ以外に多彩な機能を果たしていることが示された。
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