Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2001: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
本研究では,マクロファージ様P388D_1細胞を用いて,スカベンジャー受容体を介したザイモザン刺激下でのアラキドン酸遊離反応にCa^<2+>非依存性の型細胞質PLA_2(iPLA_2)が寄与する可能性を明らかにするとともにiPLA_2の活性化機構について検索した。 P388D_1細胞をザイモザンで刺激すると,アラキドン酸遊離に平行して膜画分へのiPLA_2の活性上昇を伴う移行が見られ,また,本細胞に存在するプロテインキナーゼC(PKC)分子種(α,β,δ,ε,ζ)のうち,刺激によりPKCα,δ,およびεの三種が膜画分へ移行した。このアラキドン酸遊離はiPLA_2またはCa^<2+>依存性の型細胞質ホスホリパーゼA_2(cPLA_2)の特異的阻害剤によりそれぞれ40%および60%抑制された。PKCの活性化剤であるホルボールエステル(PMA)でPKCのダウンレギュレーションを試みたところPKCαおよびδが枯渇され,この条件下ではザイモザン刺激によるiPLA2の膜移行も抑制された。さらに、PKCαの阻害剤およびCa^<2+>のキレート剤は刺激下膜画分でのiPLA_2活性の上昇を抑制し,一方,PKCδの阻害剤は無効であった。しかしながら,PMAまたはCa^<2+>イオノホアの刺激下ではiPLA_2の膜移行は誘起されなかった。従って,ザイモザン刺激下でのiPLA_2の膜移行にはPKCαおよびCa^<2+>が必須であるが、これらの因子だけでは不十分であり,ザイモザン刺激に特有の細胞応答がiPLA_2の膜移行に関与する可能性が考えられた。ザイモザンの刺激下ではファゴサイトーシスが誘起され,それ自身が細胞内に取り込まれることから,iPLA_2の膜移行が刺激に伴うファゴソームの形成に依存する可能性を検索した。その結果,ファゴサイトーシスを抑制するサイトカラシンD(アクチンの重合阻害剤)で細胞を前処理したところ、ザイモザン刺激下でのiPLA_2の膜移行およびアラキドン酸遊離は著しく阻害された。一方,酸化LDLでの刺激下では,ザイモザンと同様な即時的なアラキドン酸遊離やiPLA_2の膜移行は見られなかった。また、スカベンジャー受容体を介さない刺激下でのP388D_1細胞や胃粘膜上皮細胞では,アラキドン酸遊離は誘起されたが、その遊離へのiPLA_2の関与およびiPLA_2の膜移行は見られなかった。 以上の結果から,ザイモザン刺激下でのアラキドン酸遊離の一部を担うiPLA2は,PKCαの活性化およびCa^<2+>動員に依存して,ファゴサイトーシスに伴い形成されたファゴソームの膜へ移行し,その水解活性を発揮することが推察された。
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