Research Project
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
本年度は前年度に引き続き以下の研究を遂行した。GTPシクロヒドロラーゼI(GCH1)遺伝子欠損患者1名の解析では、遺伝子の全域をカバーするように設定した9つの領域の計60kbをLONG-PCR法により増幅し、その断片をエンハンサートラップ法を用いてプロモータ活性を変化させる領域を探索した。当初の目標ではalleleによる発現量の差の検出が期待されたがこの患者では見つからなかった。しかしその過程で2領域中に新規のエンハンサー活性と1領域に抑制性配列を有することを発見できた。これらの活性を持つ領域を今後同定することにより、GCH1の発現制御機構の新たな側面が明らかになると共に、神経系と免疫系における発現制御のクロストークについて知見が得られるものと期待される。GCH1優性変異疾患のDRD患者1名の解析については、20kbの領域の塩基配列を決定したところおよそ30塩基の多型を検出した。そのうち上記のエンハンサー領域にも多型がいくつか含まれていることから遺伝子の発現量に影響する可能性がある。また健康なコントロールとの比較により、日本人特有の多型を有するalleleの存在が強く示唆された。これらの多型の解析については今後さらに研究を進めていく計画である。以上の変異や多型が発現制御に関わるかどうかを最終的に判断する系の確立については、BACを用いていくつかのコンストラクションを試みたが、最終的にはBACクローンのサイズを小さくして従来の方法を用いるのが確実であると判断し、アッセイベクターの構築を行っている最中である。以上の研究成果は早急に結論をまとめ論文として投稿する予定である。