Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2001: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Research Abstract |
[目的]日常検査にて遭遇する末梢血塗沫標本上の好中球凝集現象の原因を明らかにすること。および、その検討の中で浮かび上がった抗好中球細胞質抗体(ANCA)との関連について明らかにすること。 [結果]すでに昨年の段階で、好中球凝集を呈した患者血清を用いて、ANCAの検出を行い、スライド上の塗沫固定好中球細胞質と反応するIgG抗体およびIgM抗体を蛍光抗体法にて確認した。また、ELISAを用いて多くの患者血清でmyeloperoxidase(MPO)-ANCAの陽性を確認したがproteinase3(PR3)-ANCA陽性例は少なかった。また、患者血清を健常者由来好中球に添加し、条件によって凝集を起こさせることに成功した。 このような結果よりANCA、特にMPO-ANCAが好中球凝集に何らかの影響を及ぼしていることが推定されたが、この対応抗原MPOは通常は好中球細胞質内にあるためMPO-ANCAのような外部の抗体と反応することはないと考えられる。そこで何らかの条件下でMPOが細胞膜表面に表出し、その結果ANCAと反応することで好中球が活性化される可能性を考え、代表的cytokine(TNF-α)の各種濃度下でincubateし、刺激後の健常者由来好中球をFITC標識抗MPO抗体と反応させた後、flowcytometerにて蛍光強度を測定した。その結果、TNF-αの濃度依存性に好中球細胞膜表面にMPOの発現が見られるという再現性ある結果が得られた(第47回日本臨床検査医学会総会にて発表)。 さらに、これまでの関連報告を調査する中で、TNF-α以外の種々cytokineのMPO発現に及ぼす影響についての包括的な研究は乏しい事が判明した。これはANCAにおける好中球活性化における基礎的な重要な事項であるため、これを検討する目的で、G-CSF, GM-CSF, IL-1α,1β,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,15,16,17の各々について種々濃度に調整し、好中球とincubateした後、表面MPOの発現をflowcytemeterで計測した。その結果、TNF-αが最も影響が大きかったが、IL-4をはじめ種々cytokineで発現が見られるという興味深い結果が得られた(The 7th International Workshop on Autoantibodies and Autoimmunity, 2001およびThe 21th World Congress of Pathology and Laboratory Medicine,2001)。抗原量の変化がとらえられた次の段階として、RT-PCRを用いたmRNA動態の解析を予定していたが、現在進行中であり、引き続き検討を進めて当初の目標まで到達する予定である。また、当初、MPO以外の抗原に対するANCAの可能性も考えており、抗原分析を予定していたが、現在ではその主体はMPOであると考えている。
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