Project/Area Number |
12771500
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
基礎・地域看護学
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Research Institution | Yamanashi College of Nursing |
Principal Investigator |
高橋 美紀 山梨県立看護大学, 看護学部, 講師 (20305494)
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Project Period (FY) |
2000 – 2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Budget Amount *help |
¥490,000 (Direct Cost: ¥490,000)
Fiscal Year 2001: ¥90,000 (Direct Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2000: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
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Keywords | 薬物依存症 / 薬物依存者 / ダルク / 体験 / 相互支援過程 / 面接 / 回復 / 社会復帰 / 茨城ダルク今日一日ハウス / ハイヤーパワー / 内面的な体験 |
Research Abstract |
茨城ダルク(ダルクは本邦唯一の民間薬物依存リハビリ施設で全国に20箇所以上ある。専従スタッフはすべて、かつて薬物依存者としてダルクに辿り付いた者である)において、スタッフもしくはスタッフ研修生として、他の薬物依存症の仲間のケアに従事している人々(以下対象者とする)を対象として、仲間(他の薬物依存者)を支援していく過程における、内面的な体験に焦点を当てた面接を継続的に実施した。H12年夏からH14年2月迄の間に、約15名の対象者に対して、それぞれ1〜8回の面接を実施した。うち、5名については6回以上の面接が実施できた(その中の1名については他のダルク転出後の面接も含む)。面接における対象者の表現を分析対象として、対象者が他の薬物依存者をケアしていく過程における内面的な体験とその変化の構造に接近していった。そこから、以下のことが明らかになった。 (1)かつて他者を操作したり他者とトラブルを起こしてまでも薬を続けてきた対象者が、他者(主にダルク内の仲間)に支えられていることに気づける段階に至るには、自分の力で他者(主にダルク内の仲間)を変えようとすることの断念について学び体験する過程があった。 (2)かつて薬に支配された生活を送ってきた対象者が、ダルクの外の人々(まだダルクにつながっていない薬物依存者や、薬物依存者の家族、啓蒙活動の対象者である児童・生徒など)に対して、薬物依存者として何ができるのかを模索する段階に至るには、ダルク内での仲間に対する役割に専念する過程があった。 本研究では、対象者が、ダルク内の他の薬物依存者(他のスタッフも含む)との日々の関わりを通して、薬物依存症という疾患や自分という人間についての考え方を発展させていっている過程を明らかにした。一方、対象者のこのような考え方の発展に関与しているものとしては、他の依存者との関わりのみならず、ダルクの外の人々との関わりも無視できないことが面接を通してわかった。依存者が回復や社会復帰を実現していくためには、仲間との関わりを中核として、多様な社会関係を多くの人々と結んでいく必要がある。その実相を淫き彫りにすることが今後の課題である。
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