Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2000: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Research Abstract |
昨年度,当研究室では小・中学校ならびに高校の男子児童・生徒を対象とし,体温,体格ならびにアンケート方式による生活背景の調査を行い,児童の体温と体格(肥満),生活習慣および身体活動との間に関連はないことを報告した。しかしながら,身体活動についてはアンケート中のいくつかの項目で評価を行ったため,実質的な運動量を把握することができたとは考えにくい。そこで,今回の調査は,前回の調査で十分に評価を行うことができなかった身体活動量を加速度計測装置付き歩数計(ライフコーダ)を用いて評価し,体温ならびに体格(肥満)との関連について再検討することを目的とした。 札幌市内の小学校4〜6年生の男子児童49名(4年生21名,5年生18名,6年生10名)を対象とし,起床時の口腔温(5分値)を調査した。その結果,体温の最頻値は36.4℃台であり,低体温傾向(36℃未満)であった児童は49名中3名,全体の6.1%であった。本研究で低体温傾向を示した児童が少なかったことは,低体温の原因の一端が腋窩温での体温測定方法にあるという先行研究と一致した。 続いて身体活動量の検討を実施した。一般的な定義に従い36℃未満を低体温として,低体温傾向児童と標準体温児童との身体活動量の比較を行う予定であったが,低体温傾向児童が少なかったため,以下のような群分けを行った。すなわち体温測定の結果より49名の中から体温が高い方から10名(高体温群),低いほうから10名(低体温群)の合計20名を抽出し,そのうち了承の得られた18名である。その結果,低体温群と高体温群の身体活動量に差はみられなかった。体温の高低によって身体活動量に差が出るのであれば,体温の高低で群分けを行った本研究の群間にも差がみられるはずである。「低い体温が増えていても,異常や病気につながるかどうかは,また別の問題」という見解(佐田,1992)もあることから,低体温の定義のように体温をある基準で区分すること,その中に問題を見出そうとすることには無理があると考えられる。もともと体温は個人差が大きいため,体温の測定値は絶対値としてではなく,相対的なものとして判断する必要がある。今後は体温が低いことそれ自体を問題にするよりも,サーカディアンリズムの乱れに注目し,より詳しく調べていく必要があると思われる。
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